研究課題/領域番号 |
19K13013
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 花園大学 (2022) 龍谷大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
西谷 功 花園大学, 文学部, 准教授 (80773928)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 宋仏教 / 忌日儀礼 / 追善文化 / 石塔・墓塔 / 涅槃図 / 羅漢 / 茶礼 / 往生儀礼 / 臨終儀礼 / 祖師像 / 泉涌寺 / 肖像画 / 仏牙 / 追善儀礼 / 葬送 / 肖像彫刻・肖像画 / 葬礼 / 宋代 / 鎌倉時代 / 葬送・追善儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世日本葬送史研究の一環として、その影響が想定される宋代仏教の葬送・追善儀礼に関する文物資料を調査・収集して、その実態解明を行う。このため、 [1]儒教墓にみえる仏教的要素の抽出 [2]葬送・追善儀礼における肖像(画・彫刻)と位牌 [3]追善儀礼に招請される諸尊格 [4]高僧の墓塔(無縫塔・普同塔) を中心に美術・考古資料および文献資料を収集して検討を加え、[2]~[4]の文物が諸儀礼でどのように「機能」したのかを明らかにする。美術・考古学、文献史学の研究蓄積を援用しつつも、単なる資料収集にとどまらず、文物資料を用いて宋代仏教の葬送・追善儀礼空間(場)を復元的・機能論的に考察することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、東アジア仏教的視座から中世日本葬礼史とその文化の再検討を行うものである。このため、同時代の中国・宋代や韓国・高麗時代における仏教の葬送・追善儀礼に関する文物資料を調査・収集して、その実態解明を行い、比較資料を提示することを主目的とする。 今年度は、まず南宋墓塔の影響が考えられる泉涌寺開山俊ジョウ(1166-1227)の石塔(無縫塔)、さらにその形式を継承する泉涌寺歴代長老の石塔(一部)の基礎調査を実施した。また、佐賀・石塔院の五輪塔・宝篋印塔群(鎌倉後期~室町時代)の調査および資料収集を行った。同院近隣の東妙寺(西大寺流)では「東妙寺并妙法寺境内図」(鎌倉~南北朝)の聞き取り調査を行い、南宋仏教の影響によって変容した寺院生活や仏道実践の一実態を収集することができた。さらに、同県小城市に流布する大陸(明清代)風石仏および関連資料の収集も行った。 葬送・追善文化研究の一環として、以下の論考の公刊と口頭発表を行った。釈迦追慕の儀礼として鎌倉時代に流行する涅槃会が南宋の影響下で展開すること(明恵撰『涅槃講式』成立の背景」)、宋代において羅漢は追善儀礼の本尊としても機能したが、その流行背景には呉越国の存在があること(「天台山石橋五百羅漢と賛寧」)、泉涌寺流の盂蘭盆会の仏具・資具や供養儀礼(供茶・献花)では「唐物」やその模倣品が用いられていたこと(「泉涌寺における唐物の受容」「羅漢図から見る僧院生活」「泉涌寺流における茶・花」「鎌倉時代の寺院生活」)、そして、そのような資具・文化が同時代の諸寺院で受容されたこと(「泉涌寺の諸儀礼から読み解く中世仏教の姿」)、鎌倉初期天皇家の葬送の「場」として機能した泉涌寺(「俊ジョウ:承久の乱と泉涌寺」)などを公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度もコロナの影響で予定した調査の多くが実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は1年間の延長を行う。今年度は韓国にて高麗時代の僧墓(石塔)などの石造物の基礎的調査・収集を実施する。 また、海外研究者の助力や海外研究機関・博物館のデジタルコレクションなどの閲覧を通して研究課題に関連する作例の収集を図り、中国(10-13世紀)の墓室・墓塔事例の収集を行うため、中文報告書・論文などの購入・複写などを行う予定である。 以上と並行して、宋代仏教を受容した泉涌寺流の臨終行儀や葬送儀礼に関する論述を踏まえ、それらの儀礼文化が鎌倉時代に影響を及ぼしたことを実証するために、引き続き、同時代の天台僧・浄土僧・禅僧が行った臨終行儀や葬送・追善・法恩などの諸儀礼の関連資料や研究の収集を行う。
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