研究課題/領域番号 |
19K13019
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館 |
研究代表者 |
桝田 倫広 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (70600881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 美術史 / 現代美術 / 美術批評 / 絵画 / イギリス美術 / グローバリズム / ポストコロニアリズム / 現代絵画 / 具象絵画 / 多文化主義 / 近代美術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1990年代から2000年代初頭にかけてロンドンのコンテンポラリー・アートの動向で興隆した具象絵画について検討する。研究手法としては、主に、カタログ、定期刊行物などに掲載された論考を通じて、その批評的言説の理論を明らかにすることである。必要に応じて、当事者のインタビューをとる。次に、現代美術と社会との関わりについても考察を加える。とりわけ多文化主義およびグローバリゼーションと美術動向との関係、マーケットと美術動向との関係を視野に入れながら、総合的に美術について考察する。その意味で、本研究は現代美術を対象としていながら、私たちの社会や政治について考えるための視座を提供するものである。
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研究成果の概要 |
1990年代の「新しい具象」の画家の代表的な作家のひとりであるピーター・ドイグの絵画の特徴を明らかにするため、先行研究や既存言説の翻訳、そしてそれを踏まえた論文を執筆し、書籍(展覧会カタログ)にまとめた。90年代の先行例を考えるため、具象と抽象絵画のどちらも描くゲルハルト・リヒターや、90年代から2000年代にかけて登場した新しい絵画のあり方の先駆者として当時再評価されつつあったドイツ人作家マルティン・キッペンベルガーについて、それぞれ書籍と論文にまとめた。また、ドイグ以降のイギリスにおける非白人作家の動向を考察する上で、リネッテ・イヤドム=ボアキエに着目し、論文にまとめた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1990年代の絵画表現のおおまかな特徴として、異種混交性が重要な要素のひとつだと考えられる。それは作者の人種、背景の多様化、それに伴う主題の多様化、さらには絵画を他のメディアと組み合わせるなどして、絵画のみでは成立させないような作品のあり方によって規定される。90年代の動向はまだ歴史化の端緒についたばかりで、しばしば「なんでもあり」の状況を招いた時代とも言われることもあるが、こうした近過去の言説の整理や、作品分析をつうじて、現代における絵画の批評的意義に関する一視座を提示することができたと考える。今後も研究を続けることで、美術史およびわたしたちの美術への考え方を深めることに貢献したいと考える。
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