研究課題/領域番号 |
19K13025
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
塚田 花恵 東京藝術大学, 大学院音楽研究科, 研究員 (60734192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 音楽史教育 / 音楽史記述 / 20・21世紀音楽史 / 現代音楽 / ヴァナキュラー音楽 / ポピュラー音楽 / 芸術音楽 / 音楽史叙述 / アメリカ / フランス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本の高等教育における西洋音楽史の教育において、前衛主義とアメリカ文化帝国主義のいずれをも相対化した現代音楽史の教育モデルを構築することである。 近年アメリカでは、最も一般的に読まれている音楽史書において、20世紀以降の記述が、モダニズムの前衛主義を相対化し、大衆文化に重要な位置を与えるものへと書き換えられている。本研究ではまず、アメリカの音楽史記述と教育実践例を調査し、扱う事象やレパートリーがどのように拡大されてきているのかを明らかにする。 次に、アメリカ文化帝国主義を相対化する視点を得るために、近年のフランスの公教育における〈芸術史〉教育の事例を比較検討する。
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研究実績の概要 |
本年度は、日本音楽学会東日本支部の定例研究会にて、ロックと映画音楽の領域の音楽史教育の専門家を招き、「西洋音楽史教育における「ポピュラー音楽の世紀」――20・21世紀音楽史のナラティヴとレパートリー再考」と題したシンポジウムを開催した。まず、議論のたたき台として、本研究で進めてきたバークホルダー、グラウト、パリスカ著『西洋音楽史 A History of Western Music』(W. W. Norton & Company刊)の20・21世紀音楽史記述の特徴について、概要を発表した。それを踏まえて、「芸術音楽」と「ポピュラー音楽」の20・21世紀音楽史記述を統合していく可能性について討議を行った。 バークホルダー、グラウト、パリスカ著『西洋音楽史』の20・21世紀音楽史記述については、議論の中から以下の問題点が浮かび上がった。これらの問題点が、今後、より包括的な20・21世紀音楽史記述を模索していくうえでの具体的な課題になると考えられる。 ①芸術音楽のモダニズムを20・21世紀音楽文化全体のなかで相対的な位置に置こうとするならば、ジャズやロックのジャンルにおけるモダニズムも同様に、ジャンル史のなかで相対的な位置に置くべきであろう。しかし、それらのジャンルの作品事例は、芸術音楽とのフュージョンに偏りがちになっている。 ②フュージョンに至ることを「進歩」と捉える音楽史の語り自体が、アメリカ的な「ポスト・モダン」観を反映しているのではないか。 ③楽譜と音源を教材として「レパートリー」を学ぶという学習スタイルが、芸術音楽の歴史教育を前提としたものであり、ポピュラー音楽の歴史教育の場合には適さないのではないか。また、①の問題点は、教材がこのフォーマットで固定されていることが一因なのではないか。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本においては、高等教育レベルの音楽史教育の方法論に関する研究が少ないため、音楽史教育に携わる研究者同士の議論の場を創ることが、本研究の進展には不可欠であった。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、シンポジウムの企画・実施が遅れていたが、本年度ようやく実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のシンポジウムでの議論を踏まえて、ジャズやロックの音楽史記述・教育について、研究状況を整理したい。
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