研究課題/領域番号 |
19K13029
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
甲斐 義明 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20709886)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 写真史 / アマチュア写真 / 美術史 / 視覚文化論 / 大衆文化論 / アマチュア文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1990年代以降の日本のアマチュア写真文化の展開を特徴づける、「カメラの自動化」や「スナップ写真の美学」といったトピックの分析を通して、写真技術のデジタル化以降、アマチュア写真文化がどのような変容を遂げたのか、あるいは逆にどのような点で過去の伝統を継承しているのかを検討し、海外の状況と比較した際の、日本の写真文化の特殊性と普遍性を明確化する。そのうえで「趣味としての写真」が持つ社会的意義を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は主に、アマチュアによる風景写真の研究に取り組んだ。1990年以降の『アサヒカメラ』等の写真雑誌に掲載された風景写真関連の記事を分析したほか、アマチュア風景写真家の作品制作にこれまで多大な影響を与えてきた前田真三や竹内敏信らの写真集に検討を加えた。2022年10月には隔月刊『風景写真』編集長・永原耕治氏を招いて、研究代表者(甲斐)が永原氏にインタビューを行うという形式で、オンライン講演会「風景写真の現在」を実施した。講演会では、雑誌の主な読者層、『風景写真』で表明されてきた風景写真観、風景写真撮影における環境保護意識などの話題について議論が交わされた。後日、講演会の書き起こしを作成し、ウェブマガジンiiiiDに発表した(https://iiiid.photography/1791)。 調査および講演会の結果、以下のことが明らかになった。1)写真雑誌(カメラ雑誌)は、そこに掲載される作例が全国のアマチュア写真家たちの手本となるだけでなく、それを通して読者同士、および読者と編集部を結び付けるコミュニティの役割(誌面を超えた人的つながりの形成)を果たしていることがわかった。写真雑誌のそのような側面は1950年代には顕著であったが、『風景写真』のような特定の写真ジャンルに特化した雑誌においては、インターネット時代の現在においても、紙媒体が依然としてそうした役割を担っていることが判明した。2)写真愛好家向けの雑誌において示されている風景写真観と、風景を主題にしたアート・フォトグラフィ(とりわけ現代美術のギャラリーで展示されるようなアート・フォトグラフィ)が依って立つ風景写真観のあいだには大きなギャップがあることが明らかになった。このギャップが写真美学的にどのような意味を持つのか、というのは今後の考察に値するトピックである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大を理由とする出張自粛要請により生じた2021年度の調査の遅れを取り戻すべく、2022年度は作品・資料調査に取り組んだ。しかしながら、調査によって得られた知見をまとめるのに、当初想定した以上の時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2023年度には、アマチュアの風景写真撮影について、これまでの調査研究で得られた知見を論文の形で発表することを目指したい。
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