研究課題/領域番号 |
19K13046
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
井口 暁 (中屋敷 暁 / 井口暁) 追手門学院大学, 社会学部, 准教授 (20839477)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 無知 / 非知 / リスク社会 / ペーター・ヴェーリング / ニクラス・ルーマン / 東日本大震災 / 福島原発事故 / 低線量放射線被曝 / 科学的無知文化 / 無知をめぐる対話 / アグノトロジー / 科学的無知 / 了解 / コミュニケーション / 意思決定 / 不確実性 / リスク / 規制科学 / 原発事故リスク / 放射線リスク / 専門家内ギャップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近年ドイツで発展しつつある「科学的無知文化の社会学(sociology of scientific cultures of non-knowledge)」の展開と成果に関して理論的・学説史的検討を行うことにある。それとともに、その枠組みを応用して、日本の原子力・放射線関連領域の科学者・専門家集団の内部にいかなる無知認識の傾向のギャップが存在するのかに関して言説分析を試みることにある。それを通じて、科学内部における無知文化の多元性と階層性が、審議会を中心とする政策決定・助言過程にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを試みる。
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研究成果の概要 |
近年、多様な分野で課題となっている、“unknown”(無知)をめぐる専門家内部での認識のギャップと対立を捉えるための枠組みの発展を目指した。主な成果として、①ドイツで発展してきた「科学的無知文化の社会学」に焦点を当て、科学史の「アグノトロジー」との比較検討を通じて、その射程と応用可能性を検討した。②それを基に、低線量放射線被曝をめぐる専門家の言説の特徴を分析した。③無知をめぐる対立への対処策として、「無知をめぐる対話」の可能性に着目し、その中での「モノ=知覚」の水準の役割の重要性を明らかにした。④無知の有益性に着目する「規範的無知論」とも呼べる潮流を抽出し、視点の拡張・多角化を進めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
科学の限界や盲点、予測不可能な事象等に関わる「無知」の問題は、「リスク」や「不確実性」と並び、世界的・学際的に重要なテーマとなっている。日本では、2011年の原発事故の際に、地震・津波の予測可能性や、低線量放射線被ばくの健康リスク等の問題として表面化した。さらに、これらの問題をめぐり、専門家内部において広範な対立と論争が発生し、政治的・社会的議論に影響が及ぼされたことから、重要なテーマとなっている。本研究の成果は、このテーマに対して、ドイツで発展してきた「科学的無知文化の社会学」の最新の知見の導入と応用を試みることで社会学的に応答しようとするものであり、学術的・社会的に重要な意義を有する。
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