研究課題/領域番号 |
19K13047
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
二瓶 真理子 松山大学, 経済学部, 准教授 (50770294)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 科学哲学 / フェミニスト科学哲学 / 社会認識論 / 多様性 / フェミニスト経験主義 / フェミニストスタンドポイント / 認知的多様性 / フェミニスト認識論 / フェミニズム経験主義 / スタンド・ポイント理論 / 認識論的多様性 / フェミニズム科学哲学 / スタンドポイント理論 |
研究開始時の研究の概要 |
科学的知識の客観性=「価値自由」という見方は、近年科学哲学上でも影響力を失いつつある。科学は、社会のなかの一事業として、様々な諸価値や状況からの影響をうけざるをえない。しかし、同時にそれは、特定の個人や立場のみに占有されるのではなく、社会全体に共有される公共知でもあるべきだ。こうした新しいいみでの「客観性」概念を担保するひとつの要素として、近年、科学者共同体内部の価値観、信念背景、立場、観点などの「多様性」を重要視する見方が、提起されている。さまざまな観点をもつものによる共同体部の相互批判により、科学知のステイタスを確保するという見解だ。本研究は、このような見解の是非と意義を理論的に検討する。
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研究成果の概要 |
フェミニスト科学哲学はその内部に複数の路線・立場を含むが、科学的知識産出共同体の「多様性(diversity)」を強調する点はおおむねすべての立場に共有されている。また、それらの立場においては、多様性は、たんに倫理的・社会的な要請としてだけではなく、科学的知識の客観性にたいして有効に機能するものとして、つまり科学的知識の内容にかかわる認識論的な利益をもたらすものとして主張されることが多い。本研究では、フェミニズム科学哲学内部での代表的な立場を区分整理し、それぞれの立場が依拠している「多様性」概念を明確化したうえで、科学的知識の客観性と科学的共同体の多様性の関係にかんする各立場の主張を精査した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フェミニスト科学哲学の内部は多岐にわたっている。それらの相違を整理し、コアな論点の相違と重なり合いを明確化したこと、とりわけ、フェミニスト科学哲学者自身もあまり明確に区別してこなかった内部での「多様性」概念の相違を明らかにしたことには一定の学術的価値があると思う。 組織やコミュニティの「多様性」とか「ダイバーシティ」の促進は、近年重視されている社会的テーマのひとつであろう。だが、それらを語るさいに、我々は必ずしも、多様性の定義や意味を明確に共有しているわけではない。本研究が精査した複数の多様性概念とそれらの相違は、こうした社会的議論を行うさいの我々の概念ツールとして役立つ可能性がある。
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