研究課題/領域番号 |
19K13049
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 大阪大谷大学 (2022) 東京大学 (2021) お茶の水女子大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
木村 迪子 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (40836475)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 近世仏書 / 勧化本 / 宗学 / 近世出版 / 近世文学 / 出版 / 民衆教化 / 浄土真宗 / 説話 / 浄土宗 / 羊歩 / 玄貞 / 出版規制 / 浅井了意 / 仏書 / 上方出版 / 空誓 / 出版文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は特に近世前期(17~18世紀前半)にかけて出版された書名に〈勧化〉を冠する通俗仏書に焦点を当て、その著述を手掛けた勧化本作家の全貌を解明しようとするものである。 妙音寺・玄貞・白慧といった個々の勧化本の内容や書誌に関するデータの集積から、複数の勧化本執筆を手掛けた勧化本作家の活動を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
従来、研究が手薄であった近世前期における勧化本の動向を、作家の活動に焦点を当てて個々に論じることで、当該時期における勧化本の全体像を解明した。勧化本の趨勢を担ったのが、羊歩・知空・空誓・了信ら浄土真宗本願寺派であることを示した。西本願寺は元禄期までに相伝と決別する。その過程で、本来であれば口伝により受け継がれるべきであった説法が勧化本として上梓されるようになった。また、羊歩の前身は浄土宗僧であり、その著述に浄土宗宗学の影響を強く見いだせることを、同じく浄土宗僧侶の真海が著した『浄土勧化標目章』との内容重複から示した。出版はまた、本来独自性のあった各宗派の宗学をハイブリッド化させたのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究における調査結果から、近世前期における個々の仏書作家等の具体的な活動が明らかになった。仏書作家等の活動は、一次史料の乏しい近世前期の上方出版そのものの有用な事例でもあり、これら出版成果が享保以降本格化する近世出版の礎になったことを明示するものであり、学際的研究における意義を有する。更に、本研究の対象となる仏書は、それ自体が近世文学研究の俎上にのることの乏しい分野であったが、研究成果からは、近世仏書とその作者・版元の活動が、近世文学と密接に関わっており、そこからは、例えば〈倩女離魂〉の新たな典拠といった、新見地も開けることが判明したのは、研究成果の含有する学術的意義といえよう。
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