研究課題/領域番号 |
19K13050
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小谷 瑛輔 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (10753618)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 日本文学 / 芥川龍之介 / 自殺 / 自己表象 / 自筆原稿 / 自筆資料 / 作家イメージ / 原稿 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、複数の公的機関に分散して所蔵されており詳細な検討はいまだ一部にとどまっている芥川龍之介の自筆資料の調査を進めるとともに、日本近代文学に大きな影響を与えた芥川の自殺イメージが、どのような作家自身の自己表現の試みと死後の第三者の関与によって形作られてきたのか、歴史的な事実として解明することを目指すものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、「人を殺したかしら?」と呼ばれる芥川龍之介の遺稿群に関して、次のことを明らかにした。 【1】当該の遺稿は、芥川自身の手によって2~3種類またはそれ以上のバリアントを持った形で残されたということ。【2】それらの一部は散逸し、残存しているものも複数の資料所蔵施設に分散しているということ。【3】生前に芥川自身、周囲の関係者にたびたび独特の形で顕示していたことの意図。【4】原稿管理者であった葛巻義敏の「復元」作業において単に原型を復元する目的とは明らかに異なる目的で編集された痕跡。【5】その「編集」に関する傾向や方針を一定程度推定可能であること。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
芥川龍之介の自殺は、「大正文学の終焉」、あるいは「昭和文学の始まり」を告げる出来事として文学史上で記述されることが多く、日本文学の最も重要なトピックの一つだが、そのイメージが、作家本人によってどのように表現が試みられ、死後どのような力学が働くことによってその後のイメージ形成に繋がったのか、あるいはイメージ形成の可能性が抑制されたのかという点について、従来持たれてきたイメージとは大きく異なる実態があったことを明らかにした。このことは、日本文学のイメージ形成のあり方に関して根本的に考え直す必要があることを示す事例となるだろう。
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