研究課題/領域番号 |
19K13057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 公立千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
山下 文 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 講師 (20711203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 複合動詞 / 歌ことば / 僧正遍昭 / 扱く / 歌語 / こきまず / 六歌仙 / 和歌表現 / 良岑安世 / 比叡山 / 歌壇 / 古今和歌集成立前夜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、僧正遍昭(816~890)の歌が当時どのように享受されたのか究明することを通して、遍昭の属した文化サロンの様相を明らかにしようとするものである。 遍昭の和歌には特徴的な表現が多く、自ら創り出したのではないかと思われるものもある。遍昭は時康親王(のちの光孝天皇)や常康親王(仁明天皇第七皇子)の文化サロンに出入りしたとされている。そこで遍昭の和歌表現がどのように受け入れられたのか、サロンに関わったと目される歌人の和歌を調査することで明らかにしたい。 本研究は、和歌文学史上の暗黒時代とされる『古今和歌集』以前の和歌享受のあり方を明らかにすることにもつながるであろう。
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研究成果の概要 |
本研究では『古今集』成立以前に用いられた和歌表現を通して、平安前期から中期にかけて、歌ことばがいかに生成・展開をしていくのかを明らかにした。複合動詞は前項動詞と後項動詞の組み合わせから成っており、表現の創出が容易である。特に遍昭は、比較的卑近な表現を用いた表現を生み出している。また、「扱く(こく)」を前項としたものは多くの歌人たちによって和歌に用いられた。延喜年間には「扱き混ず」を詠み込むことが時流にもなるほどであった。このような経過を経て和歌表現として定着をした複合動詞は、単なる表現としての域に納まらない。「本意(=物事の美的本質)」のある歌ことばとしての性格を有することになるのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
和歌は言語芸術であり、歌において歌人たちが創出した複合動詞は芸術的営為の発露とみることができる。ただ、和歌に見える複合動詞に着目した研究は、日本語学の側からのものが圧倒的に多い。また、日本語学における複合動詞の研究でも、韻文としての特質を重視せずに和歌表現を用例として取り上げるものが散見される。本研究は、和歌に見られる複合動詞を和歌文学と日本語学の両側面から取り上げたものである。この点に本研究の学術的意義が見出される。
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