研究課題/領域番号 |
19K13061
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢島 明希子 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 講師 (20803373)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 名物学 / 本草学 / 詩経小識 / 書誌学 / 毛詩草木鳥獣虫魚疏 / 博物学 / 毛詩草木鳥獣蟲魚疏 / 狩野文庫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東北大学附属図書館狩野文庫所蔵和刻本『毛詩草木鳥獣虫魚疏』に施された書入れについて翻刻を行い、その内容を検討する。該本の書入れには、本草書や朱熹の詩注など中国の文献を引用する考証学的な手法と、当時の日本の植生に則した植物学的・博物学的な手法が見られ、さらには和歌を引用するなど、広範囲の学問領域に及ぶ多彩な内容を持つ。この書入れを研究することによって、近代の学者の学問のあり方が浮かび上がってくると考えている。さらに、狩野亨吉の蔵書群における該本の位置づけや、当時の学者の学問領域の広がりについて追究する。
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研究実績の概要 |
本研究は東北大学附属図書館狩野文庫所蔵の『毛詩艸木鳥獸蟲魚疏』(狩2-1794-2、以下『草木疏』)の書き入れを調査し、その他狩野文庫の漢籍調査によって狩野亨吉旧蔵書における『草木疏』の位置づけについて検討することを目的としている。 しかし、2022年度も前半は諸機関で新型感染症対策が取られ、部外者の閲覧の制限が設けられたため、本研究の中心となる資料の原本調査を延期せざるを得なかった。その代わり、2021年度より行ってきた関連書籍『詩経小識』の調査を22年度も継続して行った。 『詩経小識』は写本でしか伝わらないが、江戸時代中期の本草学者・稲生若水が新井白石の依頼で作成した『詩経』の注釈書であり、日本の名物学史の中では重要な一書である。本研究が対象とする狩野文庫本『草木疏』の書入にも引かれるが、その伝本研究は今なお不十分であるため、申請者は21年度より各所に伝わる本書の悉皆調査を行った。22年度は、21年度に調査できなかった15本を調査し、現在所在が判明していて調査可能な範囲では全ての伝本を調査したことになる。その結果、21年度に調査した伝本と関係が近いと考えられる伝本が数点発見され、『詩経小識』の伝本整理をさらに進めることができた。 各伝本の詳細や整理の結果については、「稲生若水撰『詩経小識』の伝本調査(二)」として『斯道文庫論集』第57輯に発表した。 さらに、22年度の後半は多くの機関で外部の閲覧が可能になったため、東北大学附属図書館の『草木疏』および、狩野文庫の関係する写本数点について原本の閲覧し、筆跡の比較など調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は関連書籍である『詩経小識』の各伝本の特徴を把握することができ、肝心の狩野文庫本『草木疏』自体の調査も再開することができたが、新型感染症蔓延によるこれまでの遅れを挽回することは出来なかった。そのため、研究期間を1年延長し、2023年度に本研究の完了を目指すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は狩野文庫本『草木疏』の書入の内容を精読し、その源流を探るほか、狩野文庫内の他の関連書籍と比較検討することで、本書の位置づけや伝来、当時の学問のあり方について検討したい。そのためには、東北大学附属図書館をはじめ諸機関での原本調査が不可欠である。昨今、急速に古典籍のデジタル画像のウェブ公開が進んでおり、狩野文庫本もマイクロフィルムがデジタル化され公開され始めているが、画像化されていないものも多い。また、筆跡や料紙、蔵書印など細かい部分は画像では判別しにくいため、やはり原本を実際に見て比較しなければならない。今後も各調査先の方針に従って調査を行う予定である。
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