研究課題/領域番号 |
19K13063
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
上野 英子 実践女子大学, 文学部, 教授 (60205573)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 源氏物語本文研究 / 三條西家源氏学 / 紅梅文庫本源氏物語 / 明融本源氏物語 / 青表紙本 / 書誌学 / 三条西実隆 / 源氏物語注釈書 / 室町時代の源氏学 / 三條西家本源氏物語 / 紅梅文庫旧蔵本源氏物語 / 日本大学本源氏物語 / 六半本 / 伏見宮家の源氏享受 / 仮名字母分析 / 室町時代の源氏物語写本 / 三条西家本源氏物語 / 書陵部本源氏物語 / 肖柏本源氏物語 / 定家本源氏物語 / 室町時代の源氏物語諸本 / 紅梅文庫旧蔵本 / 三条西家本 / 青表紙本系 / 四半本 / 藤原定家 / 源氏物語 / 室町時代の享受史 / 三条西家の源氏学 / ふたつの定家本 / 細流抄 / 寄合書き / 紅梅文庫本 / 大島本 / 本文史 |
研究開始時の研究の概要 |
三条西実隆が最初の手沢本とした源氏物語写本は既に散逸したとされていたが、新出資料の紅梅文庫本が、その転写本であること、しかも同本は大島本以上に、定家の〈六半本〉や〈四半本〉柏木巻に親しかったことが判明した。実隆の最初の源氏物語写本はかなり筋の良いものだった可能性がある。 本科研はかかる紅梅文庫本の全容を公開し、併せて特徴的な諸巻について本文の位相を解析するものである。 従来三条西家の青表紙本は評価が低かったが、紅梅文庫本を導入してみるとその図式は変わってくるようである。また三条西家の本文史を明らかにすることは、同じく室町時代に書写された大島本を別の角度から客観視することでもある。
|
研究成果の概要 |
新出資料の紅梅文庫旧蔵本源氏物語(以下、紅梅本と略)は、三条西実隆の最初の手沢本(以下〈文明本〉と略)を祖本とし、伏見宮家本を親本とする。この紅梅本に拠って、三條西家が藤原定家の〈六半本〉を青表紙正本と捉えていた可能性のあることが判ってきた。 では紅梅本はその後の三條西家本にどのような影響を及ぼしたのか、特に実隆最後の手沢本となった日本大学本との関係はどうなのか。また〈四半本〉を代表する大島本を初めとする、室町時代の代表的な写本と比較して、紅梅本の本文にはどのような特徴があるのか、更に紅梅本を生み出した伏見宮家について分析した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本調査によって、伏見宮家本から、紅梅本以外に熊本大学本も書写されていたこと。紅梅本と熊本大学本に共通する書入は実隆〈文明本〉由来のものである可能性が高いことが判明。結果、両本から推察される実隆〈文明本〉の本文は、現存する定家〈六半本〉により一層近接した。またこれまで実隆初期の源氏本文とみられていた書陵部蔵三条西家証本は、実隆協力本と位置づけるべきであり、さらに紅梅本は、巻単位ではあるが、日本大学本を初め、室町期の諸写本に影響を及ぼしていたことも判明した。三條西家の本文を明確に位置づけていくことは、定家〈四半本〉にのみ傾倒した現在の本文研究に新たな視野を導入することになるだろう。
|