研究課題/領域番号 |
19K13074
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 (2021) 立命館大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
富 嘉吟 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (00802696)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 和漢比較文学 / 漢籍 / 出版史 / 松崎慊堂 / 和刻本 / 江戸時代 |
研究開始時の研究の概要 |
松崎慊堂は江戸後期の儒者・文人であり、近世思想史・近世政治史・江戸漢詩史などの分野において重要な功績を残した重要人物である。彼は生涯を通じて漢籍を愛読し、文集や日記において自分の読書生活を余すところなく記載している。これらの資料は慊堂個人の読書興味のみならず、江戸後期の漢籍享受の実態と変遷を記す貴重なものである。 本研究は、松崎慊堂に関する資料を蒐集・整理する上で、慊堂の漢籍享受の様相を検討し、江戸漢学史・江戸漢文学史におけるその意義を解明する。また、慊堂が関与した漢籍出版の事情を明らかにし、近世出版史・日中交流史におけるその意義を検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は、江戸時代後期に活躍している儒者・文人である松崎慊堂が、どのように漢籍を享受し、どのように漢籍の出版に携わったことについて、基礎的な資料を蒐集・整理した上で、いくつかの事例を踏まえて検討した。 基礎資料の整理として、慊堂の日記・文集の書名・人名索引を作成し、慊堂がなんの漢籍に特に注意を配ったのか、特定の漢籍への関心がどのように変遷してきたのかなど、その漢籍享受・漢籍出版の全貌が一目瞭然になった。また、『陶淵明文集』『海録碎事』を事例として、その出版に関わる人物や、作業の具体的な様子を明らかにし、近世の漢籍出版史における慊堂の貢献を評価した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
漢籍の享受・出版に関する研究が、従来日本漢文学の研究において注目を集めている分野であるが、主に中国から日本へという単方向の流れで検討されており、漢字文化圏の一員である日本の影響力が過小評価される恐れがある。 本研究によって、慊堂が出版した漢籍は清国の学界にも新風を吹き込み、清末の新たな研究傾向との連動性が見受けられる。近世以降の漢字文化圏は、従来の単方向から双方向流動という新たな傾向が現れたことは、漢字文化圏の変遷、さらに近代以降の日中関係を理解する一側面になっている。
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