研究課題/領域番号 |
19K13076
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 大阪経済大学 (2020-2022) 大阪電気通信大学 (2019) |
研究代表者 |
辻 晶子 大阪経済大学, 経営学部, 講師 (40825428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 児灌頂 / 長楽寺 / 談義所 / 赤白二滞 / 稚児 / 禅密兼修 / 神祇灌頂箱陰大事 / 白翁守明 / 体内口決 / 山王神道 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世の天台寺院で稚児を対象にして行われた密教儀礼「児灌頂」に関する総体的考究を試みるものである。児灌頂とは、稚児を観音菩薩の化身へと変化させ聖性を発現させることを目的として中世の天台僧が修した儀礼である。今東光『稚児』(1936)がきっかけとなり一般に知られ、近年では稚児のセクシュアリティを強調する形で拡大されている。申請者はこれまで児灌頂の諸本研究に取り組み、テキストに則して儀礼を分析することで「児灌頂とは何か」という根本的な問い対する答えを提示してきた。これを承けて本研究では、近世以前の談義所寺院における児灌頂伝本の書写活動に焦点を当て、児灌頂儀礼の生成と流伝の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、児灌頂伝本の書写活動の場となった関東の天台寺院の本格的な資料調査はできなかったが、立教大学付属図書館において、近代の書写者の一人である岩田準一の手になる写本の確認や、稲敷市歴史民俗資料館との情報共有によって、児灌頂伝本の伝流に大きく関与したと考えられる学僧・尊栄の追跡調査ができた。このほか児灌頂の背景に広がる中世の言説「赤白二滴(さんずいに帝)」と禅との融合を考察し「『体内口決』に関する覚書〈附翻刻〉」(奈良女子大学『叙説』47巻2020年3月)を発表した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
児灌頂は、中世の天台寺院で稚児を対象にして行われたと伝えられる密教儀礼であるが、その実態は長らく一般に知られることなく、今東光の小説「稚児」を通して、時に誤解をも含んで語られてきた。そこで本研究では、児灌頂伝本の一次資料による基礎研究を進め、児灌頂の構造と流伝の実態を明らかにし、従来、言及されることのなかった児灌頂の新たな面を提示した。
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