研究課題/領域番号 |
19K13079
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
森 誠子 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (20615356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 説話 / 伝承文学 / 平家物語 / 縁起 / 信仰 / 軍記物語 / 畠山六郎重保 / 芸能 / 地獄 / 卒塔婆 / 逆修 / お伽草子 / 在地伝承 / 絵画 / 日本文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、『平家物語』並びにこれと題材の共通する諸文芸(お伽草子・説話・寺社縁起・芸能・絵画等)を同時代的・通史的に突き合わせ、そこに平家滅亡の地である北部九州に伝わる言説等を加えることで、平家にまつわる文芸の生成及び流布の様相の解明を目指す。 その好適な例として、『平家物語』に描かれる女性説話を切り口にし、平清盛に翻弄された女性の物語が諸文芸においてどのように生成し流布したのか、これまでに明らかとなったお伽草子の成立背景や周縁の諸文芸との関係、それに連関する地域に伝わる言説にも着目し、歴史事象を語り伝える営為と物語の創造の様相を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、『平家物語』並びにこれと題材の共通する諸文芸(お伽草子・説話・寺社縁起・芸能・絵画等)を同時代的・通史的に突き合わせ、そこに平家滅亡の地である北部九州をはじめとする地域の祭りや伝承に関わる言説等を加えることで、平家にまつわる文芸の生成及び流布の様相を解明することが目的である。その好適な例である『平家物語』に描かれる女性説話を切り口に、平家にまつわる文芸領域の動態を解明し、その結果として中世期から近世前期における総合的な文芸領域の様相を解明することを目指している。 2022年度の前半は、昨年度に引き続きCOVID-19の影響により県を跨ぐ実地踏査が行えなかった。そのため、先年行った海外調査(ニューヨーク公共図書館スペンサーコレクション)ついて研究会における発表内容の補訂を行い、海外調査が不可能である状況に多少なりとも寄与できるよう、調査の経緯と結果の情報共有化として公表した。 2022年度の後半は、COVID-19にともなう種々の制限も緩和されてきたので、当初の計画を遂行すべく、北陸地方の加賀地域を中心に、『平家物語』に描かれる女性説話の一つである仏御前説話の成立と背景について、これまでCOVID-19の制限下で出来る限りの資料収集と分析を行った結果を一端整理するため、口頭発表を行った。そして、その成果をもとに、実地踏査を行った。結果、従来、藤島秀隆氏によって纏められてきた先行研究の成果をさらに前進させ、平家物語に登場する女性が、平家物語の往生譚を離れて、様々な場所で様々な往生を遂げる、種々に残された文献資料の記述の精査と実地踏査から、その成立と背景の解明に繋げることができた。以上の成果は、2023年度に成文化し公開予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度前半は、COVID-19の感染拡大による、調査訪問地に対する医学的かつ心理的不安・懸念に配慮し、文献資料を中心とした研究となった。しかしながら、文献の精査に重点を置いたことで、従来指摘されていなかった仏御前説話の縁起を記す文化的背景を明らかにすることができた。さらに、2022年度後半は、COVID-19にともなう種々の制限が緩和されたため、上記の成果をもとに実地踏査を行い、関連する原資料の調査を行えたことで、文献資料のみだった研究結果の裏付けを得ただけでなく、今後の研究における新たな課題も発見した。 だが、現時点では、2019年に立てた当初計画よりは遅れているため、「やや遅れている」とする。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度にあたるため、COVID-19の影響で繰り越し課題となっている『平家物語』に描かれる女性説話に関する諸機関への調査と資料収集を、最優先に行っていく。また、収集済み資料の分析を継続して行うことで、研究を深化させていくとともに、分析を通して得られた成果の公表にも力点を置いていく。
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