研究課題/領域番号 |
19K13082
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 九州大学 (2021-2022) 国文学研究資料館 (2019-2020) |
研究代表者 |
岡田 貴憲 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (60822103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 日記文学 / 和泉式部日記 / 更級日記 / 蜻蛉日記 / 写本・板本 / 本文 / 受容 / 平安仮名日記 / 写本・版本 / 板本 / 本文受容 / 私家集 / 生成 / 伝本 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「平安時代日記文学」の作品群を対象として、これまで看過されてきた作品生成の実態、および中世~近世における受容の実態を、通時的に解明しようとするものである。研究の目的は、長く低迷状態にある日記文学研究の現況を打破し、低迷の根因であるジャンルそのものの解体に向けた基礎を築くことにある。手法として、異本に属する写本や、絵入り板本、作品収載叢書などを取り上げ、歌物語・物語的私家集などの周辺作品や、公卿・大名・国学者の日記・書状などの周辺資料を用いた考察を行うことによって、女性性・自照性を重んじてきた従来の方法では成し得ない、日記文学の枠組みから離れた研究を4年間の計画で展開する。
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研究成果の概要 |
本研究では、平安時代日記文学のうち『和泉式部日記』『更級日記』『蜻蛉日記』の三作品を主な対象として取り上げ、特に中世以降の受容に関する問題点から、以下の三点についての成果を得た。(1)諸本の悉皆調査に基づき、新出伝本を発見し、伝本系統の再構築を行った。(2)板本における古態本文の残存を示し、かつ周辺資料に基づく散逸板本の推定を行った。(3)国学者による伝本受容の実態を解明し、それを支えた人的交流の一端を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の日記文学研究が、作者の自照性を重んずることで研究価値を見出だした草創期の事情から、特定の「善本」(作者の原作本に最も近い一本)に基づく作品内容の考究を常に志向してきたのに対し、本研究では、同事情から必然的に等閑視されてきた近世以前の受容に着目し、「日記文学」というジャンルが定められる以前の諸作品の姿に迫る成果を上げた点に、学術的意義を有する。近代より続いてきた日記文学研究が今日陥る停滞状況に対し、「日記文学」の枠組みを離れることで諸資料の活用可能性を示した本研究の成果は、長く教育現場においても固定化している中古文学のジャンル意識に、変革をもたらすものとして社会的意義を持つ。
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