研究課題/領域番号 |
19K13083
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
安岡 佳穂子 (井黒佳穂子) 国文学研究資料館, 古典籍共同研究事業センター, 特任助教 (90743104)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 御伽草子 / 異類婚姻譚 / 異性装 / 中世王朝物語 / ジェンダー / 長歌 / 絵画 / 異類 |
研究開始時の研究の概要 |
古典文学には多くの変身が描かれている。異類が人間の姿に化けたり、人が本来の性とは異なる姿になることで、「種」や「性」の境界を越えて、新たな共同体へ加わろうとする。とりわけ狐は作中で美女の姿をとることが多く、人の社会と積極的に関わろうとしてきた動物だろう。人と狐の異類婚姻譚は日本や中国の古典文学に数多く描かれ、現代まで親しまれている。 本研究では中世から近世前期にわたって作られた絵巻・絵入り本から、狐の異類物を中心に採りあげる。御伽草子『玉水物語』は、異類から人へ、男から女へという、二重の越境を果たしている点に注目できる。本研究では『玉水物語』を題材に、種と性の越境について検討したい。
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研究成果の概要 |
本研究では御伽草子『玉水物語』の特色を明らかにすることを目的として、作中における種と性の越境について検討した。従来「異類物」に分類されてきた『玉水物語』は、異類から人へ、男から女へという、二重の変身を果たしている。この二つの変身について、「異類婚」と「異性装」の観点から分析し、類似の構造を持つ説話や御伽草子、中世王朝物語と比較した結果、『玉水物語』は中世王朝物語や「公家物」に分類される御伽草子の影響を受けており、「しのびね」型の構造に近い物語であることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
『玉水物語』は「しのびね型」の物語構造の中に、異性装と狐女房譚のモチーフを取り込むことで、身体的な性と社会的な性を描き分け、これまでにない多様性の物語として成立しており、しばしば類型的と批判的に評価されてきた御伽草子の豊かさ、現代の創作にも通じる姿が認められたことは大いに意義があると考える。
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