研究課題/領域番号 |
19K13087
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上原 究一 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (30757802)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 中国文学 / 書誌学 / 官刻・家刻・坊刻 / 覆刻・翻刻 / 書坊 / 十八国闘宝伝 / 伍子胥 |
研究開始時の研究の概要 |
前近代の中国における出版には、皇室や官署による公的な出版である官刻、士大夫の個人的な自費出版である家刻、書坊による商業出版である坊刻の三種があったとされる。しかし、明末清初の出版物には、三者の境界線上にあるような事例が少なくない。本研究ではそうした事例を集めて精査することによって、明末清初における官刻・家刻・坊刻それぞれの実態を把握し、それらが互いにどのように絡み合っていたのかを解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
新型コロナウイルスの流行により海外への出張調査が不可能となってしまったため、計画の大幅な見直しを行い、既に手元に資料を多めに収集していた坊刻の実態に絞って研究を進めた。 2021年度までには、長らく所在不明だった阿英旧蔵の熊雲濱覆世徳堂刊本『西遊記』について紹介したり、明末の杭州の書坊容與堂の活動に関して新たな知見を得たり、過去の日本語論文を中国語訳して海外に成果を発信した。 2022年度には、2021年度後半に別の研究経費によって購入することが出来た、それまで存在自体が全く知られていなかった伍子胥を主人公とする明末の通俗小説刊本『新刻彙正十八國闘寳傳』について初歩的な研究を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
明末の坊刻、即ち商業出版の世界においては、通俗小説や戯曲が売れ筋のコンテンツの一角を占めていた。本研究においては、長らく行方不明になっていた阿英旧蔵の熊雲濱覆世徳堂刊本『西遊記』や作品自体が新発見の『新刻彙正十八國闘寳傳』といった明末の坊刻で出版された小説刊本についての調査や、多くの小説・戯曲を出版していた杭州の容與堂の活動状況に関する研究を通じて、当時の商業出版界で売れ筋のコンテンツがどのように流通していたかの解明を進めることが出来た。特に、新発見の『新刻彙正十八國闘寳傳』からは今後も多くの知見が得られる見込みである。
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