研究課題/領域番号 |
19K13088
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
|
研究機関 | フェリス女学院大学 (2020-2023) 首都大学東京 (2019) |
研究代表者 |
上原 かおり (関野かおり) フェリス女学院大学, 国際交流学部, 准教授 (30815478)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 科学文芸 / SF / 杜建国 / 小霊通漫遊未来 / ソ連 / イリーン / 高士其 / 科学詩 / 科学幻想小説 / 科学童話 / 中国のSF / 科幻小説 / 文芸講話 / 中国の科学文芸 / 科学小説 / 『小霊通漫遊未来』 / 第五届中国(成都)国際科幻大会 / 『科幻世界』 / ロシア・ソ連文芸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国で通俗科学読物やSFの総称として1980年頃までに普及定着した「科学文芸」の形成について、民国期から新中国にかけてのロシア・ソ連文芸の受容状況を調査すると共に、作品の主な発表場所となった児童あるいは若年層向けの雑誌・新聞・書籍をはじめ、ロングセラー「十万個為什麼」シリーズなどを分析し、中国独自の発展の様相を明らかにする。中国の近代化ないしは近代的国民国家形成において重要な位置を占める科学言説に関する研究である。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、研究課題「中国『科学文芸』形成期におけるロシア・ソ連文芸受容の研究」について、1回の口頭発表を行い、1編の資料を公開することができた。 資料公開については、児童SFのイラストレーターとして活躍した杜建国の訪問録「杜建国訪問録(一)」を発表した(『日本中国当代文学研究会会報』第37号、日本中国当代文学研究会、2023年12月)。本訪問録では、1970年代末にベストセラーとなった児童向けSF『小霊通漫遊未来』の挿絵をはじめ、科学文芸出版物とイラストレーターに関する当時の状況の一端を示すことができた。口頭発表については、上記研究をもとに、杜のオリジナル作品も分析した「杜建國與《小靈通漫遊未來》以及《小兔非非》的趣味」を、國際青年學者通俗小説與文化研究會議において発表した。 前年度にひきつづき、科学文芸が新中国の科学言説形成の場として一定の役割を果たしたことを検証する作業として、ソ連科学文芸を中国に紹介した編訳書の資料を収集し、手元の資料との関連性について整理を行ない、並行して先行研究の分析を進めた。 また、成都市で開催された第81回世界SF大会(Worldcon)に参加し、「目向東方:中国科幻小説吸引世界 関注的特性(Focus on the East: The Attention-grabbing Characteristics of Chinese Science Fiction)」に登壇したほか、ほかのディスカッションやブースの見学、SF専門出版社訪問、作家・編集者・研究者等との交流を行い、日本中国当代文学研究会例会においてWorldcon参加報告を行った。これらの見聞はいずれ科学文芸の現在という視点から考察することになるだろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
中国への渡航や、中国の学術データベースへの海外からのアクセスが困難な状況があった。可能な方法で資料収取を行いつつ手元の資料を整理し、一部は発表に至ったが、当初の計画からは大幅に遅れている。 児童SFのイラストレーター・杜建国とその作品に関する研究は、全てを発表するには至らなかった。 1950、60年代の科学文芸の状況については、一定量の資料の収集・閲読を進めたが、手元の資料のみに基づき発表可能なテーマをしぼる必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
中国への渡航や、中国の学術データベースへの海外からのアクセスが困難な状況は続いている。 本課題最終年度となるため、杜建国とその作品に関する研究の未公開部分を発表する。1950、60年代の科学文芸の状況については手元の資料に基づき発表可能なテーマをしぼって論文を発表する。 また、中国への渡航による研究交流は困難であるため、日本で学術交流を行う準備を進めている。
|