研究課題/領域番号 |
19K13090
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
上原 尉暢 大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (50292181)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 『四六文章図』 / 『詩傳大全』 / 『蒲室集』 / 『蒲室集鈔』 / 四六文章図 / 作文指南書 / 作詩理論書 / 漢字漢語研究書 / 『三体詩』 / 『詩人玉屑』 / 駢文 / 漢詩文作法書 / 五山文学 / 文章指南書 / 文章作法書 / 駢体 / 文章指南書・作法書 / 四六文 |
研究開始時の研究の概要 |
日本中世に隆盛を極めた五山文学では、中国の唐宋詩や唐宋八家文のような漢詩文が盛んに受容された。一方で唐宋詩文とはスタイルを異にする、六朝期に盛んとなった駢体も重要視されており、その「読み書き」を学ぶための指南書も数多く作成されている。本研究で取り上げる『四六文章図』は、そうした駢体の文章指南書・作法書を「集大成」したとされるものである。本研究ではこの『四六文章図』の訳注を作成し、その内容や特質を解明するとともに、また本書に関連する他の国内外の文章作法書との比較を通して、日本のみならず東アジア文化圏全体における本書の位置づけを明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和四年度も、前年度と同様国内外で新型コロナウィルス感染拡大防止対策が実施されており、それに伴い各種研究機関を中心とした調査を主とする研究計画に大きな支障が生じた。予定していた文章指南書・作法書のより包括的なデータベース構築及びそれらとの比較における、『四六文章図』の特徴や学統の分析作業は、オンライン上で可能な作業に限られ、不足分を次年度に譲らざるをえなかった。 『四六文章図』の訳注は、前年度までの作業をブラッシュアップし、さらに巻五「禪家四六并偈頌類」についての作業を一通り終えた。 本年度は、前年度までの訳注作業中に判明した、鎌倉から室町・江戸期に日本に舶来した字書・漢字漢語研究書類や作文指南書との比較研究をより一層進めた。これまでの研究では、『四六文章図』の成立に関して、五山文学期から江戸期までよく読まれた作詩理論書や唐詩選集との関連が顕著であることを発見していたが、本年度の検討では、新たに明・胡廣『詩傳大全』という、宋元の詩経学成果をまとめた解説書との関係が顕著であることが明らかになり、その具体的な比較研究に着手した。さらに巻五は禅門における四六文に関する記述であり、その成立については、元僧・笑隠大キン[言+斤]が規範化し、日本の五山文学でも広く浸透していた所謂「蒲室疏法」が基礎になっていることが予想される。そこで笑隠の『蒲室集』や、日本の禅林における『蒲室集』の注釈書である月舟壽桂『蒲室集抄』・『蒲根』などとの比較検討を開始した。その成果の一部を、令和四年九月二日及び令和五年三月二十日に、東北大学矢田尚子教授の主催する「漢代楚辞作品の多角的研究」の研究会で紹介し、そこで得た各種の問題点を次年度の成果発表に向けてフィードバックしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『四六文章図』の訳注作業は、当初巻五まで進め、全体を完成させる予定であったのだが、今期の検討において他の禅四六関連書とのの関連が新たな課題として浮かび上がり、その比較検討に多くの時間を割くことになり、まだ完成段階にまで至っていない。 また本年度は前年度までの積み残しとして、主として国外、即ち中国・台湾・韓国などの研究機関に赴き、『四六文章図』に関連する文章指南書・作法書の実態調査を行うとしていた。これも当地及び当地の研究機関において新型コロナウィルス感染拡大防止対策が引き続き実施されていたため、この計画が実現できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和五年度は、前年度に引き続き、『四六文章図』の訳注作業を遂行するとともに、禅四六文関連書との比較検討を行い、一部不十分な点は含みながらも、当初の計画の順調な遂行を目指す。 訳注は量が膨大になるため、最終報告書の形で公開する予定である。『四六文章図』と他の関連書との比較研究については、令和五年度中に学術雑誌への投稿や、国内学会における口頭発表、という形で公開する予定である。
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