研究課題/領域番号 |
19K13104
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菅野 磨美 金沢大学, 外国語教育系, 助教 (20805329)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 聖フリデスウィデ / 聖エセルスリス / 聖ミルドレッド / マージェリー・ケンプ / 神秘主義作品 / 中世英文学 / 中英語聖人伝 / 聖人崇敬 / 典礼写本 / 聖ウィニフレッド / 中世研究 / 聖人伝 / 中世写本 / 中英語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世後期イングランドにおける地方での聖人崇敬をマッピングし、聖人崇敬によって形成された様々なローカリティからなる「イングランド」像の把握することを目指す。聖人崇敬が地方でのコミュニティの形成に貢献したことを出発点に、聖人伝写本や典礼写本に基づき、中世後期イングランドにおける地方での聖人崇敬を考察する。そして、先行研究が自国の聖人伝としばしば結び付けてきたナショナリズムの問題を、地方を中心に形成されたローカリティの視点から再検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度前半は、オクスフォードのフリデスウィデ、イーリーのエセルスリス、ミンスター・イン・サネットのミルドレッドの3人の聖女の崇敬に焦点を当て、ラテン語・中英語による聖人伝と、典礼写本やその他の崇敬活動を示す図像資料を基に、それぞれの地方における聖人崇敬の様相について論考をまとめた。研究の成果は、フリデスウィデ伝については23年度の国内学会での報告が決まり、ミルドレッド伝の一部はオンライン版Palgrave Encyclopedia of Women's Writings in the Global Middle Agesにて刊行された。 2022年度後半は、エセルスリスの崇敬について調査をしている過程で、イーリーを中心とするイースト・アングリア地方における聖人崇敬が一般信徒にどのような影響を与えたのかについて、15世紀リンの女性マージェリー・ケンプに焦点を当てた論文をまとめ、海外で刊行される予定の論文集に投稿した。 2023年3月には、イギリス・オクスフォード大学のAnne Mouron博士とベルギー・Universite' Saint-Louis, BruxellesのMarleen Cre'博士を招聘し、慶應義塾大学で中世ヨーロッパにおける女性と書物に関する講演会、金沢大学(しいのき迎賓館)で13~15世紀ヨーロッパの神秘主義作品に関する講演会、また東京で対面・オンラインで、日本とヨーロッパ各地をつないだオンライン・セミナー、慶應義塾大学で若手研究者向けのセミナーを行った。二人の研究者とは、13~15世紀ヨーロッパにおける神秘主義作品に関する論文集の準備を行っており、海外の出版社より2~3年後の刊行を目指して、複数回の編集打ち合わせを行った。 2021年度に投稿した聖ウィニフレッドの移葬に関する論文が『旅するナラティヴ―西洋中世をめぐる移動の諸相』にて出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度中に研究課題に関する論文やその他解説の出版があり、また来年度以降の刊行につながる論考をまとめたり、論文を投稿することが出来た。また、二人の研究者を日本に招聘したことで、今後の研究の成果を発表・刊行するための計画が大きく前進したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる来年度は、研究計画では、同様の関心を持つ研究者を招聘し、研究課題に関する国際シンポジウム/ワークショップを企画・実施する予定だったが、海外の研究者の招聘計画を3年次に前倒して実施したため、研究課題のまとめとして、引き続き国内での執筆を中心に研究を行う。ウィンチェスターの聖エドブルガ崇敬について調査をし、論考をまとめ、これまでに執筆・編集してきた他4人の聖女崇敬に関する論考と合わせて、初稿を出版社に提出することを目指したい。また、海外の研究者と共同で準備している論文集についても、編集作業を進め、2~3年以内の刊行を目指す予定である。
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