研究課題/領域番号 |
19K13108
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | フェリス女学院大学 (2020-2022) 首都大学東京 (2019) |
研究代表者 |
関口 洋平 フェリス女学院大学, 文学部, 助教 (00837255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 育児 / 新自由主義 / メロドラマ / アメリカの家族 / アメリカ文学 / アメリカ映画 / 男性学 / ジェンダー / イクメン / 父親 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は新自由主義のイデオロギーと関連付けながら、20世紀後半アメリカにおける育児を担う父親の文化的な表象を検討する。その際にメロドラマ研究の知見を活かし、シングル・マザーがスティグマ化される一方で育児と仕事を両立するシングル・ファーザーが道徳的な主体として美化されることを論じ、そのようなメロドラマ的な言説における感情の意義を分析する。新自由主義の時代において育児とは単調な無償労働ではなく「選択」としての再生産、すなわち家族の将来を左右する「人的資本」として再定義されており、育児に携わる父親は自己マネジメントを重視する新自由主義の申し子として表象されていることを明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
本研究の概要は2023年4月に発表された単著『「イクメン」を疑え!』(集英社新書)にまとめた。本書のなかでは父親の育児に焦点を当てた日米の文化作品を様々な角度から分析しながら、そうした作品が新自由主義的な文脈の中で、育児と仕事を一人で両立する男性を美化していることを論じた。逆に言えば、そうした作品のなかで見落とされているのは現実の社会のなかに存在しているケアのネットワークである。仕事と育児を両立可能な一部のエリート男性が称賛される一方で、ケア労働者の社会的な地位が一向に改善しない背景には、すべての領域を経済的なものさしから測る新自由主義のイデオロギーが存在していると本論では結論づけた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「子育てをする男性」がこれまで日米の文化のなかでどのように表象されてきたかを検討する本研究は、男性の育児参加が急務となっている現在の日本において重要な意義を持っている。本研究では男性の育児が新自由主義的な価値観の中でビジネススキルの一種として位置づけられ女性の育児と差別化されること、また「イクメン」という文化のイメージが高学歴の男性をモデルにしており、低所得者層の男性に対する育児支援が必要であることを議論した。
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