研究課題/領域番号 |
19K13133
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
鶴田 涼子 明星大学, 教育学部, 准教授 (10567001)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 民間伝承 / ドイツ語圏文学 / ヨーロッパ / 比較文化 / 五感 / グリム兄弟 / ドイツ / 認知神経科学 / 音声 / 感情 / 心理 / 口承文芸 / 医学 / グリム童話 / 独文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、『グリム童話』等のドイツ語圏及びヨーロッパの文字化された民間伝承において、五感に関連する表現技法がどのように取り入れられているかを検証する。 19世紀初頭に、グリム兄弟によって口頭伝承が書きとめられたことにより、民話の受容の仕方が大きく変化した。とりわけ、語り部の声による伝承が、文字による「民話/作品」へと変化したとき、文字化の過程で失われた聴覚への働きかけは文字化された民話の内部にどのような痕跡を残すであろうか、という問いを検証する。そして、声の文化と文字の文化の違いが人間の感情表現及び感情の描出方法にいかなる差異をもたらすものであるか考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は『グリム童話』等のドイツ語圏及びヨーロッパの民間伝承において、五感に関連する表現技法がどのように取り入れられているかを検証したものである。19世紀初頭、グリム兄弟によって口頭伝承が書きとめられ、民話の受容の仕方が大きく変化した。語り部の声による伝承が、文字による「民話/作品」へと変化したとき、文字化の過程で失われた聴覚への働きかけは文字化された民話の内部にどのような痕跡を残しているか、という問いを立て、声の文化と文字の文化の違いが人間の感情表現及び感情の描出方法にもたらす影響を考察した。民話では、特に聴覚に関わる描写が、登場人物が置かれた状況の転換に効果的に機能していると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ドイツの『グリム童話』を中心に各地の類話や隣国のアンデルセンの作品等を考察対象とした。口頭の「語り」で伝えられる情報は、五感に関連する描写によって民話に取り込むことが可能であり、音や声、歌という聴覚的な場面の活用は口承性を再現する働きを担いうる。発展的な課題として、口承の民話を対象とし、語り/黙読/音読の効果を脳科学的に測定する研究に繋がるため、学術的に開拓されていくべき分野であると考える。また民話の表現形式として総合芸術の人形劇がある。本研究の成果は、民話研究に限らず、世界で古来から継承される人形劇、例えば日本の人形浄瑠璃における表現手法について考察をおこなう際にも応用可能である。
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