研究課題/領域番号 |
19K13134
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 岩手大学 (2020-2021) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
松下 隆志 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70836056)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ロシア / 文学 / ポストモダニズム / ソ連 / 映画 / ナショナリズム / ポップカルチャー |
研究開始時の研究の概要 |
ソ連崩壊はロシア社会のみならず、文化全体に大きな変化をもたらした。資本主義の流入によって新たな文化が形づくられる一方で、経済的な混乱は社会に暗い影を落とした。そしてプーチン政権が誕生した00年代以降は社会の保守化が進み、文化においてもナショナリズムや愛国的な言説が目立つようになっている。こうした背景を踏まえ、本研究では、ソ連崩壊後のロシア文化、あるいはそれに大きな影響を与えた後期ソ連の非公式文化の幅広い分析を通じて、現代ロシア文化におけるナショナル・アイデンティティの表象を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、現代ロシア文化におけるナショナル・アイデンティティの表象を、文学、映画、アート、ポップカルチャーなど、幅広い視点から多角的に分析することを目的としている。本年度は、昨年度からの研究課題を継続して行うとともに、ロシアのポストモダニズム文学、現代ロシア文学におけるプーチンの表象などについても研究を行った。 具体的な研究成果は以下の通りである。 (1)昨年度に引き続き、イリヤ・フルジャノフスキー監督による「DAU.」プロジェクトにおける全体主義の表象を分析した。また、2021年8月に公開された『DAU.退行』で字幕監修を務め、インターネット・プラットフォーム「シラス」で、ロシア文学者上田洋子氏、映画研究家Knights of Odessa氏とともに「DAU.」について報告を行った。(2)『ロシア文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)でロシアのポストモダニズムに関する事項を執筆した。(3)『ノーベル文学賞のすべて』(立東社)でウラジーミル・ソローキンなどロシア作家の事項を執筆した。(4)2021年のロシア文学の動向を分析した論考を「図書新聞」に寄稿した。(5)現代ロシア文学においてプーチンがどのように描かれているか、およびプーチンと作家との関係などを分析し、スラブ・ユーラシア研究センター緊急セミナーで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシアなど国外で現地調査を行う予定だったが、コロナ禍で海外渡航できず、計画を断念せざるを得なかった。一方で、現代ロシアの文学や映画作品に関する分析を行い、論考の執筆や研究報告を行うことができたため、全体としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍は収束のきざしが見えてきたようにも思える一方、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアをめぐる情勢は急速に変化しつつある。現下の戦争が今後どのような展開を見せるか現状ではまったく見通せないが、今後はロシアへの渡航だけではなく書籍の輸入なども難しくなると思われる。とはいえ、国内の大学図書館や電子書籍などを駆使して研究を行うことは充分に可能であり、状況を見ながらその都度対策を講じていきたい。
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