研究課題/領域番号 |
19K13141
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 慶應義塾大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
立花 史 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (20749551)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ポール・ブールジェ / モーリス・バレス / ステファヌ・マラルメ / フィクションの哲学 / マクシム・デュ・カン / フランス象徴主義 / フェルディナン・ビュイソン / ガブリエル・タルド / 行動嗜癖 / 男性形の総称的用法 / インクルーシブな言語 / インフォグラフィック / ボヴァリズム / インクルージョン / 中性的なもの / 芸術作品の認知的価値 / ケンダル・ウォルトン / ジャン=マリー・シェフェール / 文学と人生 / 文学・芸術の象徴主義 / アディクション / フィクション / ゲーム / 人文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、読書のアディクションをめぐる議論の研究である。 読書が大衆消費の対象となった19世紀後半には、読書有害論が広まって20世紀を経て、終戦の頃にようやく聞かれなくなった。読書有害論は、映画有害論、テレビ有害論、スマホ有害論に取って代わられていったからである。本研究では「~~有害論」の説得力を歴史的に検討しつつ、同時に、19世紀も21世紀も、アディクションを誘発する事物に囲まれて生きているわれわれが、その中で、どのように心身のバランスを保って生きることができるのか。こうした見地から、マラルメのいわゆる文学にとどまらない多面的な活動を浮き彫りにするつもりである。
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研究実績の概要 |
申請者は、2022年度に、フランソワ・プルー「“新しき奇妙な教育者たち”――読書の危険と文学的治療薬(1883-1914)」を翻訳し、長めの「訳者あとがき」を付して、申請者のマラルメ研究およびその科研費研究課題との関係を整理した。プルーの論考は、まさに読書の有害性や危険性についてのフランス19世紀末の文壇や教育界の議論を紹介・分析したものであることからもわかるように、申請者の研究課題の核心的な着想源の一つであって、なおかつ、申請者が専門領域の違いから十分に辿りきれていないポール・ブールジェやバレス・バレスなど、世紀末の小説分野のしかも今では内外でほとんど読まれず、日本には研究者もほぼいない作品をつまびらかにするものである以上、本論考の翻訳作業は、本研究課題の総括の前段階として重要な成果発表である。また時節柄、研究会という形は取れなかったが、フロベール研究者やマラルメ研究者やヴァレリー研究者と、この論考の内容について意見交換をおこなった。 それ以外に、申請者は、世紀末に危険視された小説ジャンルと、詩ジャンルでのフィクションの違いについてマラルメを参照しつつフィクション理論の見地から分析した成果を、前年度にフィクションとフィクショナリティ研究国際学会(Societe internationale d'etudes sur la fiction et la fictionnalite)に、“La ‘sans-mondialite en tant qu’impossibilite fictionnelle”と題した査読論文を提出済みだが、その査読結果を待ちつつ、査読が通ったときのためのための加筆や修正の準備をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の影響もあって、提出した論文の査読結果が出ていないことから、その分野での研究が具体的に進めにくいほか、新たに交付の始まった基盤Cの研究成果を踏まえて、本研究課題についての理解(例えばマラルメと16世紀の文学、マラルメと美術史との関係)も深まり、さらなる調査をおこなったため。Covid-19の影響で、さまざまな作業に以前より時間と手続きがかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
遂行上の課題としては、海外学会での査読結果がなかなか出ないため、そちらの刊行が、今年度中に間に合う可能性が下がりつつあることが挙げられる。そのこともあって、本研究課題に沿って発表してきた論考を、単著にまとめることも検討しているが、出版社との調整に時間がかかるため、最終的な成果発表の形態を模索中である。長めに書ける紀要の場を利用して、これまでの成果をまとめる長めの論考にまとめることも視野に入れている。
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