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在日朝鮮人の機関紙における北朝鮮文学と韓国文学の様相

研究課題

研究課題/領域番号 19K13151
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分02050:文学一般関連
研究機関大阪経済法科大学

研究代表者

呉 恩英  大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10722564)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード北朝鮮文学 / 越北作家 / 在日朝鮮人 / 『解放新聞』
研究開始時の研究の概要

朝鮮半島が日本から解放され、南北への分裂から朝鮮戦争へと続く激動の時代に国境越えを経験したいわゆる「越北」「越南」作家や朝鮮戦争を経験した作家の作品と、日本在住の朝鮮人により組織された総連系や民団系の機関紙(1950年代半ばから1960年代半ば)を中心に資料調査及び比較分析を行うことで、在日朝鮮人文学の特徴や様相を明確にすることができると考える。

研究実績の概要

本研究の目的は、日本在住の朝鮮人により組織された総連系や民団系の団体の機関紙を中心に、1950年代半ばから1960年代半ばの在日朝鮮人文学と韓国文学、そして在日朝鮮人文学と北朝鮮文学との関連性や違いを検討し、考察することである。朝鮮半島が日本から解放され、南北の分裂から朝鮮戦争へと続く激動の時代に国境越えを経験したいわゆる「越北」「越南」作家や朝鮮戦争を経験した作家の作品分析を行うことで、韓国文学及び北朝鮮文学が在日朝鮮人社会や文学に与えた影響などを通して在日朝鮮文学の特徴を明確にする。
今年度は、総連の機関紙を中心に資料収集し、作品分析を行った。『解放新聞』(1953年前後)に掲載された連載小説は、在日朝鮮人だけではなく、北朝鮮出身、越北作家によって書かれたものである。作品を通して朝鮮戦争当時の、主にアメリカとの戦いや、北朝鮮の「土地改革」の政策がうかがえる。また忠誠心や英雄的な活動、特に女性の勇敢な行動(英雄化)などが強調され、全体的に作品の人物は北朝鮮に対する誇り、愛国心を持っていることが分かる。また『解放新聞』の社会面においては男女平等というスローガンの下に女性の活動を支援するように促す動きも見られる。
一方でこの動きにより、以前より「母性」、「母」の役割が強調された。家父長制に戻り、未来の共和国民になる子どもをよく育てることである。その反面、「父性」「父」は「不在」化されていく。
また総連の機関紙において在日朝鮮人文学作家と共に美術家たちの役割が大きかったことが分かった。1950年代から1960年代の機関紙を通して彼らの役割や創作活動の過程、日本人美術家の評価、そして北朝鮮から在日朝鮮人美術家への評価、また帰国した一部の美術家たちの作品の変化などについて検討及び考察することにより、文学分野の特徴が一層明確になると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

文学分野だけではなく、美術分野にも視野を広げて分析を行うことで、在日朝鮮文学及び北朝鮮文学の特徴がより明確に見えてきた。その研究成果として研究報告及び学会発表を行った。タイトルは、以下の通りである。
「在日朝鮮人文学における北朝鮮文学の様相―1953年度 『解放新聞』を中心に―」(The 14th ISKS International Conference of Korean Studies)、「総連の機関紙における在日朝鮮人の女性像」(第57回韓国日本文化学会秋季国際学術大会)、「総連の機関紙における在日朝鮮人美術家の活動―1950年代から1960年代を中心に―」(日本比較文化学会関西支部12月例会)、「1960年前後在日朝鮮人美術家の活動と意義―総連系を中心にー」(韓国日本学会第100回国策学術大会(この学会は2020年2月に行われる予定だったが、コロナのために中止になり、次回に発表する予定である))。この中の一部は、学会雑誌に掲載された。

今後の研究の推進方策

総連系と民団系の芸術分野の中で、特に、文学や美術に携わっていた作家の活動が著しい。北朝鮮に帰国した作家において作品の描き方の変化を含め、それに関する資料を調べ、分析を行う。1950年代後半に総連系の機関紙に紹介された北朝鮮の文学と美術の作品と、在日朝鮮人作家たちの作品を比較分析し、北朝鮮、韓国、そして日本からどのような影響を受けていたかについて分析を行う。さらに、当時、在日朝鮮人が北朝鮮と韓国の情勢についてどのように受け止めていたかについても、資料分析を行う予定である。

報告書

(1件)
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 総連の機関紙に現われる北朝鮮文学の様相―1953年度『解放新聞』を中心に2020

    • 著者名/発表者名
      呉恩英
    • 雑誌名

      International Journal of Korean Studies

      巻: 第18号 ページ: 543-558

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 在日朝鮮人文学の様相―『朝鮮時報』を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      呉恩英
    • 雑誌名

      日本文化学報

      巻: 第81輯 号: 79 ページ: 189-209

    • DOI

      10.21481/jbunka..79.201811.357

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 総連の機関紙における「チマ・チョゴリ」の表象―1950年代から1960年代を中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      呉恩英
    • 雑誌名

      日本文化学報

      巻: 第83輯 ページ: 321-343

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 在日朝鮮人文学における北朝鮮文学の様相―1953年度 『解放新聞』を中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      呉恩英
    • 学会等名
      The 14th ISKS International Conference of Korean Studies
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 総連の機関紙における在日朝鮮人の女性像2019

    • 著者名/発表者名
      呉恩英
    • 学会等名
      第57回韓国日本文化学会秋季国際学術大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 総連の機関紙における在日朝鮮人美術家の活動―1950年代から1960年代を中心に―2019

    • 著者名/発表者名
      呉恩英
    • 学会等名
      日本比較文化学会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2021-01-27  

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