研究課題/領域番号 |
19K13154
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平田 未季 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (50734919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 共同注意 / 指示詞 / 注意誘導 / 直示 / 相互行為 / 注意の調整 / 外部照応 / 内部照応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、映像データを用いて、人のコミュニケーションの基盤となる共同注意と、共同注意の成立に最も深く寄与する指示詞の使用を分析する。文脈依存性を持つ指示詞は人の言語の始原的な形をとどめる表現である。実際の共同注意場面での指示詞の用いられ方を分析することで、人が共通理解に至るために最低限どのような記号体系が必要なのかを明らかにする。また、共通の記号体系を持たないペットやロボットを相手とする共同注意場面も分析し、2つのコミュニケーションの質的違いを検証する。
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研究成果の概要 |
指示詞は常に複数の代替形を持ち複数の統語範疇にまたがる体系をなす。本研究では、自然談話データを用い、指示詞が持つ体系性が、人のコミュニケーションの基盤となる共同注意の成立にいかに寄与しているのかを分析した。 結果、(i)成人間の共同注意場面では、話し手は聞き手の注意状態を推定し、共同注意の確立と会話の進行の両方を考慮しながら、指示詞の直示素性・質的素性・統語素性を切り替えていること、しかし(ii)人と犬のやりとりでは、直示素性の切り替えは生じるものの、質的素性・統語素性の使い分けは起きないことを示した。この分析から人が共通理解に至るために必要な言語の体系性とは何かを明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、言語学の立場から、学際的に注目が高まりつつある共同注意場面の研究に寄与するものである。本研究の分析対象である共同注意場面は、言語学のみならず、発達心理学、認知科学、脳科学、ロボット工学等、ヒトのコミュニケーションを扱うすべての分野で注目を集めており、言語の起源および文化的進化を考える上でも重要な社会的行動だと考えられている。本研究は、共同注意場面の研究に欠かせない指示詞を、自然談話データを用い、注意などの学際的な概念を導入して分析した。これにより、他分野でも応用可能な、分野横断的な分析の枠組みを提供することができた。
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