研究課題/領域番号 |
19K13161
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 九州国際大学 (2020-2023) 神戸大学 (2019) |
研究代表者 |
木戸 康人 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (30800841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 日本語複合動詞 / CHILDES / 複合動詞 / 促音 / 撥音 / 接辞 / 接中辞 / 指小辞 / 慣習的推意 / 修飾 / ノ / 複合語 / 名詞修飾 / 結果構文 / 日本語 / 英語 / 複雑述語 / 語彙獲得 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本語を母語とする子どもが、どのような過程を経て日本語を母語とする大人が有する複合動詞に関する言語知識を獲得するのかを実証的に分析することを目的とする。そのために、子どもが語彙的複合動詞と統語的複合動詞に下位分類されたものをどのような順序で何を手掛かりにして獲得していくのかを発話調査と心理実験の双方向から検証する。そうすることで、これまで明らかにされていない現象の獲得過程を明らかにし、語彙獲得研究や文法発達研究等の言語獲得理論の構築に寄与する。さらには、日本語に関する理論研究を獲得の観点から考察することにより、言語理論研究に対して示唆を与えることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、3つのことを行った。第一に、「複合動詞の獲得」と「CHILDES」についての概説コラムを執筆したことである。これまで研究してきたように、日本語母語児がいつ、どのような複合動詞を発話するのかを観察したことや2023年時点で検証されてきた研究成果について概説した。また、CHILDESについてもCHILDESの使い方だけでなく、2023年時点でCHILDESの発展版であるCHILDES-dbなどについても紹介した。このような2つのコラムは『言語理論・言語獲得理論から見たキータームと名著解題』68-69,86-87, 東京, 開拓社. ISBN: 9784758923828.に収録されている。 第二に、Studies in Language Sciences: Journal of the Japanese Society for Language Sciences, 21(2), 1-14.のジャーナルに「CHILDESの展望と統語的複合動詞の獲得」というタイトルの論文を投稿したことである。本稿では、なぜ日本語複合動詞の獲得には一定の発現順序があるのか、という問いに対して、幼児語の特徴が関係している可能性があること、日本語複合動詞を獲得するためには、連用形の獲得が十分条件であることなどを明らかにした。 第三に、「引っこ抜く」「落っこちる」「落っことす」で観察される接辞「っこ」の多義性について、論文を執筆した。複合動詞「引っこ抜く」の中に現れる「っこ」がなぜ挿入されているのか、この問いを明らかにするために、「っこ」が関係するデータを集め、日本語には5つの「っこ」があると述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語複合動詞に関する発話データベースCHILDESを用いた実証研究がおおむね順調に進展している。具体的には、語彙的複合動詞と統語的複合動詞で獲得過程に違いがあることを幼児の発話、Child-directed speeech、タイプ、トークンなど、多角的に分析を行うことができた。 ただし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、心理実験を行うことが困難であった。現在、受け入れ先を探している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は他言語との比較を積極的に行っていく。複合動詞は日本語だけでなくアジアの言語(韓国語や中国語等)でも多く観察されることが知られている。日本語複合動詞の獲得に関してデータが蓄積されてきた今、通言語的研究を行うことで、言語の普遍性と個別性の追究に日本語複合動詞の観点から一翼を担う。
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