研究課題/領域番号 |
19K13168
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 学校法人文京学院 文京学院大学 (2020-2022) 東洋大学 (2019) |
研究代表者 |
新井 保裕 学校法人文京学院 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (10718422)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 朝鮮族 / モビリティ / 言語使用 / 言語意識 / 大連市 / 上海市 / インタビュー / 言語教育 / 言語選択・戦略 / 量的研究 / 質的研究 / 言語選択 / 社会化 / 週末学校 / 言語使用・意識 / 言語・民族教育環境 / 中国朝鮮族 / コミュニケーション / 移民 / 社会 |
研究開始時の研究の概要 |
移民が活発化した現在、中国朝鮮族は中国全土に散居し彼らのコミュニケーション行動も多様化していると考えられる。そこで本研究では上海市、大連市、延吉市の三地域を対象に、中国朝鮮族コミュニケーション行動の多様性に関する研究を行う。南北という地域差だけでなく、その背後にある「社会化」の程度の差が言語行動、非言語行動の根底にあるコミュニケーション意識にどのような影響を与えているのか、そして実社会コミュニケーションだけでなく「虚社会」のメディア・コミュニケーションも対象にすることで、移民や社会そして「社会化」とコミュニケーションの関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は朝鮮族のコミュニケーションの多様性を明らかにするものである。当初はアンケート調査による地域差、性差、世代差などの多角的検討を予定していたが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で現地での中大規模調査が難しく、調査方法をオンラインでの小規模インタビュー調査に切り替えた。そして、朝鮮族の特徴とされるモビリティ(移動性)に焦点を当てて、言語使用、言語意識との関係を探ることで朝鮮族のコミュニケーションの多様性及びその背景を明らかにすることとした。 2020年度に調査方法の検討、2021年度に大連市及び上海市でオンライン・インタビュー調査を行い、2022年度はその調査結果をまとめて論文投稿を行った。大連市朝鮮族10名を対象に実施した調査結果は学会誌査読を経て、2023年9月に『社会言語科学』26号1巻に「大連市在住中国朝鮮族のモビリティとことばーオンライン・インタビュー調査を通じてー」掲載予定である。当該論考では大連市の事例のみを扱っているため、事例研究に留まっているが、上海市在住朝鮮族のインタビュー結果も現在分析作業を行っており、両事例を比較して、朝鮮族のモビリティとことばの関係をモデル化する試みも行っている。上海市朝鮮族の調査結果は2023年度中に学会・研究会発表及び論文投稿を行う予定である。 またこうした調査とは別に、日本国内朝鮮族研究者・有識者のネットワークにも参加し、意見交換も行っている。2022年度は討論者として研究会に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は当初2019年度~2022年度の4か年実施で計画されていた。しかし2019年度は現地(上海市)で予備調査を行うことができたが、2019年末に世界的に流行し始めた新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年度は調査を行えず、代替調査方法の検討に留まってしまった。2021年度は大連市、上海市でオンラインインタビュー調査を行い、2022年度にその結果を分析したが、新たな調査方法による収集データであるため分析に時間を要し、当初の計画にあった延吉市在住朝鮮族への調査は行えなかった。 こうした事情により、本研究は延長申請を行い、5か年目を迎えることとした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、すでに実施済みの上海市在住朝鮮族の調査結果をまとめ論文化を行うほか、朝鮮族集住地域の延吉市を対象にオンラインインタビュー調査を実施する(8~9月を予定)。これまで調査を行った大連市、上海市は朝鮮族の新たな居住地域として知られ、「移動した」朝鮮族のモビリティとことばの関係を考えてきたが、それに加えて集住地域に住む「移動しない」延吉市の朝鮮族にインタビューを行うことで、モビリティとことばの関係をより深く分析し、モデル化することができると考えられる。この3地域の調査分析結果をまとめ、朝鮮族のコミュニケーションの多様性及びその背後にある「モビリティとことばの関係」を明らかにしていく。
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