研究課題/領域番号 |
19K13177
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
朱 薇娜 名古屋大学, 人文学研究科, 博士研究員 (20837512)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日中同形動詞 / コロケーション / 和語動詞 / 漢語動詞 / 意味的特徴 / 構文的特徴 / 意味拡張 / コーパス / 日中同形類義二字動詞 / 共起語 / 意味特徴 / フレーム意味論 / 移動領域 / 語彙体系 / 意味対応関係 / 認知意味論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「掌握する」と“掌握”など日本語と中国語の同形類義二字動詞について、コーパスを利用し、共起する名詞の性質及び関連する和語動詞との意味対応関係の分析を中心に、考察するものである。動詞は文の中心的な要素を成す要素であり、特に同形類義二字動詞は母語の語彙知識と第二言語の語彙知識が混同されやすいことから、本研究では同形類義二字動詞に焦点を当てその意味関係を明らかにする。さらに、日中同形類義二字動詞の意味関係は対応する和語動詞の意味関係と相関性を持つという仮説を立て、コーパス調査により抽出された共起する名詞に関するコロケーション情報等を抽出し、統計的手法を用いて分析することでこの仮説を実証する。
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研究実績の概要 |
本年度は、日中同形動詞の意味領域とコロケーション情報の異同を検討するために、引き続き量的なアプローチと質的なアプローチを試みた。 (1)量的なアプローチにおいては、統計的な手法を適用するために、パラメーターを付与する作業を行った。具体的には、〈競合語となる和語動詞の有無〉、〈競合語となる漢語動詞の有無〉、〈VV構造(例:「調整」)、VN構造(例:「出国」)、VA構造(例:「縮小」)などの語構成の情報〉、〈動作動詞、思考動詞、伝達動詞〉などの意味カテゴリーに関するパラメーターが挙げられる。 (2)質的な分析については、次の2点に焦点を当てて考察した。 ア 意味領域が一致しているものの、コロケーション情報が不一致しているという点についての検討である。例えば、移動動詞の「前進」“前進”は、物理的な移動を表し得る点で一致しており、同じ意味領域を持っているが、一方、「*川が前進する」、“河流前進”という表現では容認度が異なり、つまりコロケーション情報が異なる。このような現象については、共起する名詞に注目し、日中語の異質性を探究してみた。 イ 関連研究として、三田寛真氏(東京大学[院])・松浦光氏(横浜国立大学[非])との共同研究では、日本語の活動・変化事象と空間表現との関係性について、従来のメタファー的な概念化に基づく考え方とは異なり、事象とその記録との隣接関係に基づくメトニミーが関与しているという考察結果を得た。このような日本語における事象の捉え方は、中国語にも当てはまるのか、また日中同形動詞の対応関係の異同との関連があるのかについては、現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度、私自身を含め家族全員がコロナウイルスに感染し、1か月以上自宅隔離せざるを得なかった。さらに、長期間にわたる体調不良のため、計画通りに研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
日中同形動詞の対応関係の実態の全体像を明らかにするために、本年度は主に次の2点からアプローチする。 (1)パラメーターを確立し、統計的な手法を用いて各パラメーターと対応関係の不一致との相関関係の有無を検証する。具体的には、日中同形動詞の対応関係に影響を与える要因がどのパラメーターであるかを探究する。また、パラメーターの値を確定する際には、日本語と中国語における品詞の不一致などによるゆれが生じた場合の処理方法も検討する。 (2)コロケーション情報や構文的な特徴の比較にとどまらず、認知言語学のフレーム意味論などの知見を活用し、より広範な視点から日本語と中国語の日中同形動詞の対応関係の分析を試みる。
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