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謡伝書の日本語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13200
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分02070:日本語学関連
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

竹村 明日香  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10712747)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワード謡伝書 / 発音 / 能 / 謡曲 / 古典芸能 / 五十音図 / 日本語学 / 音韻
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、室町期以降に作成された謡伝書の記述を調査し、当時の能楽関係者らが「日本語をどのように発音するのか」という問いにどこまで迫れていたのかを解明することである。特に、従来未調査であった室町期の写本を調査することで、音声関連の記述を新たに発見・整理し、当時の発音把握の実態解明をめざす。
具体的には、能楽研究所所蔵の室町期の写本を翻刻し、そのデータから発音観察の様相を探る。同時に翻刻データを江戸期の謡伝書と対照させることで、伝書間での記事の継承や展開の諸相についても探る。また仮名遣い書や悉曇学書から受けた影響や、浄瑠璃秘伝書へ与えた影響など、謡伝書の成立に関わる影響関係についても追究する。

研究実績の概要

本年度は、謡伝書の翻刻を中心に行い、その過程で発見した音声学関連の記事の抽出を行った。特に、舌・鼻・歯・喉などの発声器官について言及した部分や、「清声」「濁声」などの清音・濁音に関して記した部分、五十音図の行について言及した部分、アクセントに関する部分などを調べ上げた。
『永禄三年暮松伝書』という写本においては、「アイウエヲ喉に通ずる事なればこの字は喉の扱ひと知れ」というような音韻に関する珍しい道歌も収められており、それらについても別途考察を行った。
ただ、この一年は大きく体調を崩してしまったため、資料調査には出かけることはできなかった。そのため、これまでに収集した写本資料(『謡鏡集』など)を用いて研究を行った。『禅鳳雑談』や『音曲玉淵集』といった従来よく知られた刊本資料も改めて通読し、これまで見落としてきた記述を拾い上げ、写本の記述と対照させた。
また、謡伝書には金春家文書に関わる部分が多いため、それに関する芸能史関連の論文も少しずつ読み込んだ。野上記念法政大学能楽研究所から過去のシンポジウムの報告書を無償で譲り受けたため、それらも参考とした。
調査の結果、中世末期の謡伝書における音声学的な記述は、近世の謡指南書(『音曲玉淵集』など)に変容した形で摂取されているものが多いことがわかってきた。打消の「ぬ」と完了の「ぬ」のアクセントの差、五十音図の各行の発音方法についての記述などがそれである。
従来、室町時代の謡伝書の音声学的な記述が、近世の謡指南書にどの程度引用されてきたかといった点についてはほとんど調査されてこなかった。しかし両者の少なからぬ影響関係が明らかになってきたため、今後は、より資料の幅を広げ、具体的に検証していく必要があるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本年度の春(4月)に妊娠が判明し、それ以降、出産直前まで体調不良が続いた。そのため、当初予定していたような研究機関へ赴いての資料調査は行えず、手持ちの文献を読み解くだけにとどまってしまった。資料はできる範囲で読み込んだが、翻刻や考察のペースは初期の計画よりも遅れてしまっている。

今後の研究の推進方策

今後は新型コロナウイルスの影響により資料調査に赴くことが難しくなると思われるので、手持ちの複写資料やオンラインで収集した資料を用いて可能な範囲で考察を行っていく。特に、あまり知られてこなかった中世期の謡伝書の資料を紹介したり、それらの資料と近世期の刊本資料の対比を行って対照研究を行う。
調査結果は、できる限り早めに論文化してまとめ上げていくことを目指す。

報告書

(1件)
  • 2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2021-01-27  

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