研究課題/領域番号 |
19K13205
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大田垣 仁 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60732360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 提喩 / 認知バイアス / 誤謬推論 / メンタル・スペース理論 / 換喩 / 隠喩 / 比喩 / 名詞句 / シネクドキー / メトニミー / 認知意味論 / 提喩性 / 種による提喩 / スケール / ブレンディング理論 / 概念統合理論 / 下位カテゴリーの認知特性 / 真の類による提喩(同時理解) / 弱い類による提喩 / 種による提喩の換喩性 / N1のN2型名詞句 / 名詞句意味論 |
研究開始時の研究の概要 |
提喩は隠喩や換喩に並ぶ比喩として認められつつも、外延や成立原理にはよく分かっていない部分が大きい。本研究はジル・フォコニエが提唱したメンタル・スペース理論を足がかりとし、「日常言語に遍在する提喩的認識は、いかにして記述、モデル化できるのか?」という問題を解明する。そのために、コーパスや近畿大学が所蔵する大量のマンガデータを使用し、「カテゴリーの飛躍および差異的特徴と提喩性」「『〈場所〉(の)N』形式の提喩と隠喩の連続性」「集合関係を超えて生じる提喩的認識」「キャラクター概念を生じさせる動機付けとしての提喩」「換喩と提喩の間にある連続と断続」という5つの問題群を設定し、分析を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、日常言語に潜む提喩性について、人間が持つ認知バイアスや誤謬推論に着目し、メンタル・スペース理論による記述と定式化・モデル化を行った。5年間の研究期間内で、「カテゴリーの飛躍および差異的特徴と提喩性」「“〈場所〉(の)N”形式の提喩と隠喩の連続性」「集合関係を超えて生じる提喩的認識」「キャラクター概念を生じさせる動機付けとしての提喩」「換喩と提喩の間にある連続と断続」の5つの問題群を“N1のN2”型比喩の記述と定式化、類による提喩を足がかりとした隠喩や換喩に対して提喩が排他的に保持する性質の抽出と定式化、種による提喩を足がかりとした提喩と換喩の連続性と排他性の抽出とモデル化を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、提喩の外延的な性質をメンタル・スペース理論によって定式化し、その動機づけとして認知バイアスと誤謬推論を見いだした。これにより、未だに見解の一致をみない提喩の基礎づけに一石を投じたものと考える。 カテゴリーの包摂関係にもとづく提喩の2つの方向性は、単純な反転関係として見るべきではない。そこには換喩的な側面を持つもの(種による提喩)と持たないもの(類による提喩)がある。提喩の観察に際しては、名詞や名詞句といった単位での表れは現象が持つ氷山の一角にすぎず、その背景には命題間に生じる推論が潜んでいる。これを捉えることによって、名詞に生じる提喩も一貫した形で基礎づけることが可能になるだろう。
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