研究課題/領域番号 |
19K13213
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
坂井 美日 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (00738916)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 方言 / 文法 / 類型論 / 準体 / 名詞化 / 日本語 / 連体 / 名詞 / 日本古典語 / 日本方言 / フィールド調査 / 古典 / 文献調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の対象である「準体」とは、文法操作によって、名詞相当に振る舞う(体言に準ずる)句節のことである。準体については、その存立基盤など、未だ不明な点が多い。 本研究の目的は、日本語諸方言の多様な準体を観察し、類型論的観点から体系的に捉えることで、準体現象のメカニズムを明かにすることである。 本研究の特徴は、①日本語の伝統的な準体研究と、通言語的な名詞化類型論を融合させる点、②日本語諸方言のデータを効率的に分析するために、フィールド研究・文献研究・コーパス研究の手法を駆使する点、③ 現在消滅の危機にある日本語諸方言の多様性を活かした研究であり、今しかできない研究であるという点にある。
|
研究実績の概要 |
本年度の研究実績は、論文1本、学会発表2件、特許出願1件である。 まず論文については、本研究における日本諸方言の知見、および類型論的分析の成果を反映させ、坂井美日 (2024) 「生成AI を用いた鹿児島方言生成―日琉諸語の低資源言語・方言の生成に向けた試み―」言語処理学会 第30回年次大会発表論文集を執筆した。 この内容は、NLP2024(2024/3/12、於神戸国際会議場)において、ポスター発表「生成AIを用いた鹿児島方言生成―日琉諸語の低資源言語・方言の生成に向けた試み―」をおこない、参加者と有益な情報交換をおこなうことができた。また、成果のコンテンツ化については、坂井美日(2024) 「鹿児島における方言コンテンツの取り組み」として、言語学フェス2024(於国立国語研究所/オンライン参加)においてポスター発表をおこない、参加者と有益な情報交換をおこなうことができた。 さらに本年度は、AI時代における成果のありかたを模索するうえで、システム開発にも着手した。本科研における日本諸方言の知見と類型論的分析を反映させ、日本諸方言の生成に適応できる言語システムを発明し、2024/3/1付で特許出願を完了した。出願番号:特願2024-031096「生成AIの調整用データのデータ構造、対話システム、調整方法及びプログラム」)。 本研究の位置づけとしては、日本諸方言の観察と類型論的分析によって、日本語名詞化研究に有効なデータを提供し日本語学および一般言語学に貢献するものであるとともに、その調査で得たデータは、急速な標準語化で消えつつある貴重な多様性を記録保存する役割を担う。本年度の成果は、本研究の役割を最大限に発揮した形であると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究がやや遅れている理由は、いまだCOV-19の影響があることによる。COV-19の扱いは5類相当に移行したものの、感染および重症化のリスクがなくなったわけではない。特に、本研究は伝統方言を扱うという性質から、高齢の方々に協力してもらわなければならない。高齢の方々は感染および重症化のリスクが他の年齢層よりも高いことから、調査での接触には慎重を要し、協力者の体調にあわせてスケジュールを変更することが多々発生した。人を対象とする研究において、協力者の体調を優先するというのは倫理的に必要な対処である。この遅れにより、全国方言を包括的に類型化する作業がまだ終わっていないため、研究期間の延長申請をおこない、承諾されている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、方言データの不足を補いつつ、成果の論文化を目指す。 調査は、準体の類型において重要なポイントとなる沖縄・九州および出雲・静岡などを重点的に調査対象とする。 COV-19等の影響により話者の協力が難しい地域の方言については、国立国語研究所の「日本語諸方言コーパス」 (COJADS)や『国立国語研究所資料集10 方言談話資料』等でデータを補いながら執筆をおこなう。 論文の投稿先については、東京大学『國語と國文學』等の国内学会の和文論文雑誌および、国際発信として “Language in Japan”等の国際雑誌への投稿を予定している。
|