研究課題/領域番号 |
19K13223
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 理一 九州大学, 言語文化研究院, 助教 (70815282)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 統語論 / 生成文法 / 丁寧語 / 副詞節 / (非)定型節 / 付加詞条件 / 主節現象 / 発話行為 / 付加詞条件(付加詞の島) / (非)定形節 / 話題化 / 付加詞の島 / カートグラフィー / フェイズ / カートグラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
日本語・中国語・英語の様々な副詞節(付加詞節)の統語的位置、意味・機能、節内部構造を比較することを通じて、以下の2つの目標に取り組む。 ①付加詞条件(付加詞内部の凡ゆる要素の抜き出しを禁止)の普遍性に関して通言語的な検証をし、記述的な貢献を目指すこと。 ②付加詞条件に従う例と従わない例を原理的に捉えられる派生メカニズムの解明をすること。 本研究では、通言語的に(日・中・英語を)考察し、付加詞条件の再検証を行うことで記述的な貢献を目指すと同時に、2者の例外データに共通する部分はないか検証を行う。また、日英語の比較研究だけでは可視的でない事実を中国語との対照研究で補い、付加詞条件の包括的説明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究には(1)付加詞条件(付加詞内部の凡ゆる要素の抜き出しを禁止)の普遍性に関する通言語的検証を行うこと、(2)付加詞条件に従う例と従わない例を原理的に捉えられる派生メカニズムを解明すること、以上2つの研究目標がある。 2022年度は、埋め込み節や副詞節の独立性の高さについて否定現象の観点から調査を進めた。英語に関した先行研究より、付加疑問文は主節主語のほか、周辺的副詞節の主語とも呼応することが確認されているため、この否定のスコープをもとに節の独立節を調査した。この研究の一部は、韓国日本文化学会第61回国際学術大会兼韓国日本研究総連合会第10回学術大会Proceedingsに掲載された。 他方、日本語は英語と異なり付加疑問文においてどの節主語と一致が見られるかを確認しづらい。よって、上述のアプローチではなく、他の先行研究により示されている否定辞のイントネーションとスコープ解釈の関係性に着目した研究を基礎に敷いた。本アプローチは、否定疑問文における否定辞の上昇調/下降調発音が其々の否定のスコープ解釈に相関性をもたらすという考え方をとる。この診断法が適切かどうかを調査するため、日本語母語話者より音声付きデータを収集し、各データに対してスコープの評価を行ってもらった。また、本研究は近年発展が目覚ましい機械翻訳との関連性が非常に高く、その精度向上に貢献できる可能性があることから、当該分野の研究者との共同研究を進めることができた。プロト版では、収集したデータから機械学習させ、人間と同程度にスコープの判断ができるような分類機の作成を試みた。判定が安定しない部分も依然として見受けられるため、引き続きデータのクオリティや収集量についての見直し、検証を行う。本研究の一部の成果は、第36回日本音声学会全国大会予稿集および福岡言語学会2022年度第2回研究会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筆者の異動に伴う新業務への対応に時間がとられてしまい、予定していた研究発表や論文投稿に遅れたが生じたためである。また、日本語の丁寧語の統語的側面についてまとめた研究論文をある学会の記念論文集へ投稿予定であったが、コロナ禍により出版が1年ほど遅れているため現評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
この数年の間に主節現象の一種として考えられている日本語の丁寧語の分布や関連の敬語に関する分析が複数出版されている背景を踏まえ、筆者自身の研究への応用可能性を探る。同時に、英語や中語語の従属節構造や主節とのつながりについて関連が深い部分をとりあげられないか検討し、それらの成果を研究発表または論文投稿し、最終年度のまとめとしたい。
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