研究課題/領域番号 |
19K13238
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柳瀬 千恵美 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究者 (20825715)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国内日中バイリンガル / 国内調査 / 調査再開 / 海外調査 / 縦断調査 / 漢字 / 同根語 / 言語間転移 / 年少継承日本語話者 / 語彙力 / 香港調査 / 北京調査 / 台北調査 / 漢字圏 / 日中バイリンガル児 / 漢字読み上げ / 日中バイリンガル / 児童 / 継承日本語 / 言語間転移メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
従来の研究の成果として、漢字による言語間転移に認知の発達、中国語知識、日本語語彙力が大きく関係することが明らかになったことから、本研究は従来研究の継続と発展の二方面に分けられる。継続面ではこれまでの横断的・縦断的データ収集を継続する一方で、発展面では従来調査では捉えきれなかった個々の継承日本語児童の語彙力を測定し、転移メカニズムと語彙力の関係を探る。 したがって調査は、従来の漢字読み調査の横断調査と縦断調査、及び日中両言語の語彙力調査である。従来の研究で示唆された日中バイリンガル児童の言語間の転移メカニズムを解明することを目標に、不足しているデータを補強し統計処理を可能にするためのものである。
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研究実績の概要 |
2020年年初の新型コロナ感染症パンデミックにより、本研究の調査対象地への渡航ができなくなり、研究の遂行が中断された。台湾及び香港への渡航はその後まもなく可能となった一方で、研究課題の核心となる中国本土にある北京は厳格なコロナ対策を堅持したため、申請者は海外調査が不可能であることを理由に本研究課題の遂行を中止することを考えていた。けれども中国のコロナ政策転換により、北京での調査の道が開けたため、昨年度研究課題を延長することを決めた。そして日本と中国の往来がコロナ前に戻ることを期待して、昨年度の一年間中国査証制度の政策決定に注目したが、政治的な理由により中国への渡航をめぐる環境ははやりコロナ前に戻ることはなかった。 このように北京での調査のために中国査証制度の変更に注視する一方で、海外調査ではなく、国内調査で本研究課題を遂行できないかと探った。 1,中国からの留学生を調査協力者として、本研究課題を別の角度から遂行することができないか。 2,日本の公立学校に在学する中国ルーツの児童生徒に週末中国語の授業を行っている「補習校」に協力を求め、本研究課題を遂行できないか。 上記の日本国内の日中バイリンガルを調査対象とする2つの研究方向に大きな期待をかけたが、良好な人間関係を築く前に協力を拒否されて実現することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年年初の新型コロナ感染症パンデミックにより、本研究の調査対象地への渡航ができなくなり、研究の遂行が中断された。新型コロナパンデミックによる調査協力者への影響は測り知れず、調査対象の環境には大きな変化があった。とりわけ北京の調査協力者への影響は大きく、調査協力者に対してそのまま当初の研究計画を実行することは意味をなさない状況さえ生じている。新たに調査協力者を探すためには、調査に対する協力者の理解と信頼を得る必要があり、そのためには本調査が当初地道に行ったように、キーパーソンとなる協力者を軸に人間関係を構築することが欠かせない。 しかしながら、調査対象者の環境に大きな変化があった一方で、当方研究者の研究環境も近年大きな変化に見舞われている。大幅な為替変動により海外調査コストが異常にたかくなり、予算内で見込まれる成果は非常に制限されることが予想される。その結果、海外調査のハードルが高くなり、研究課題を遂行するためには他の実行可能な方策を見つける必要に迫られている。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査から国内調査へ研究対象を切り替える方向で検討している。その最大の理由は、本研究課題に残された時間が非常に少ないことである。限られた時間でコロナで失った調査機会を取り戻すには、海外調査は非常に不利である。調査コスト面では、国内調査も最近の物価高により海外調査と同様に非常に厳しいが、調査対象者が甚だしく散在する海外より、日本国内の方が集住傾向があるため、期待される調査機会が多いと考える。 その一方で、海外調査の方が協力を得やすいという面も否めない。日本国外で生活する日中バイリンガルの日本語母語話者の保護者は、圧倒的に少ない日本語環境に不安を抱いており、申請者の調査に非常に強力的な場合が多い。しかし、日本国内の日中バイリンガルの保護者は、本研究課題の意義について過少評価することが多く、果たして調査協力を順調に得られるかは予断を許さない。
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