研究課題/領域番号 |
19K13240
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
山口 雅代 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (60763795)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本語教育史 / チェンマイ日本語学校 / ボルネオ・カンパニー / コタバル日本語学校 / 南機関 / コタバル / タイの日本語普及 / チェンマイ・ボルネオ・カンパニー / 日タイ文化研究所 / 日タイ文化会館 / 諜報工作(南機関・F機関) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦前・戦中のタイにおける日本語普及の全容を明らかにするものである。日本語普及は、政策として政府の方針などにより、普及させられ、日本語教育はその下位に位置する。タイにおける日本語教育史の研究として以下の不明点を解明していく。 1)チェンマイ日本語学校があったボルネオ・カンパニーに南機関の支部があったのか。 2)コタバル日本語学校はどこにあったのか。 3)コタバル日本語学校はF機関と関係があったのか。 4)日本語教師の中に諜報工作に従事した者はいたのか。
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研究実績の概要 |
2022年度の、2023年3月4日(土)から16日(木)までタイのチェンマイとバンコク、マレーシアの旧タイ領であったクランタン州コタバルで調査を行った。持ち帰った資料や音源、帰国後に寄せられた情報を精査し、山口(2024)で発表した。チェンマイ調査では、バンコクのボルネオ・カンパニーからチェンマイのボルネオ・カンパニーにテレグラムが送られていたこと、田中盛之助の孫3名がチェンマイ日本語学校で学んでいたことがわかった。また、チェンマイのボルネオ・カンパニーのオーナーが創設した学校を日本軍が接収し、チェンマイ日本語学校とした可能性が出てきた。コタバル調査では、南方特別留学生として日本に留学したコタバル出身の1名は、1943年7月からタイ領であったにも関わらずマレー出身として扱われていた。また、現Sultan Ismail Collegeは、戦時下日本語学校であったとの情報が寄せられ、コタバル日本語学校であった可能性が出てきた。コタバルがチェンマイと異なる点は、チェンマイはビルマへの通路として地上戦にはならなかったが、コタバルは激しい戦闘が行われた場所で、市内に残されたトーチカから見て取れた。 調査から帰国後、戦時下のチェンマイについて詳しいソムヨット・ニンマンヘーミン氏とコンタクトが取れ、追加調査として研究協力者に聞き取りを依頼した。その結果、多くの写真や資料の提供を受けた。その聞き取りや資料を含め、山口・Thananat・Walaiporn・川口(2024)で発表した。伯父のグライシー・ニンマンヘーミン氏は1942年1月27日に日本軍に捕まり、それをプレートにして残していた。1943年ごろからチェンマイに転進する日本軍が増えた。日本兵の何人かは、日本の歌や日本語をタイ人に教えた。日本軍が増えると共に、チェンマイ日本語学校だけでなく、さまざまな方法で日本語が学ばれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主な原因は、コロナ禍にあり、2020年度・2021年度の2年間海外で調査を行えなかったことによる。しかしながら、2022年度は、チェンマイ・バンコク・コタバルで調査を行ったことで多少ではあるが、進展が見られた。コタバル調査の折には、コタバル日本語学校についての情報を得ることができなかった。帰国前に情報提供を依頼した。その結果、現Sultan Ismail Collegeがコタバル日本語学校であった可能性があるというメールを受け取ることができた。今後は、コタバル日本語学校の特定のために再調査を行う必要が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年夏にソンクラー(シンゴラ)とコタバルに行くことを計画している。ソンクラーでは、諜報工作が行われたシンゴラ領事館の特定を行いたいと思っている。コタバルでは、現Sultan Ismail Collegeがコタバル日本語学校であったかどうか確認したいと思っている。2024年11月には、チェンマイの国際大会においてこれまでの成果の発表を行い、山口(2024)で示した課題について調査するつもりである。
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