研究課題/領域番号 |
19K13244
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 大阪教育大学 (2022) 法政大学 (2020-2021) 早稲田大学 (2019) |
研究代表者 |
李 址遠 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30802128)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ナラティブ / アイデンティティ / コンテクスト / クロノトポス / 移動 / 表象 / フレーム / 一貫性 / 第二言語習得 / 談話分析 / 言語と思考 / 言語相対性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、第二言語学習が学習者の自己および自己に関わる物事の認識の仕方にいかに関わるかを明らかにすることを目的とする。日本語学習者のナラティブを2年にかけて収集・分析し、語りにおいて繰り返し現れる人、物、出来事を、そこに用いられる言語的リソースの変化と、それらの表象の仕方の結びつきに注目して縦断的に分析する。本研究では、言語学習とそれに伴う認識の変容の問題に実証的にアプローチすることにより、言語、言語学習、言語と思考の問題に関する関連諸分野の知見の統合を図ると共に、言語学習そのものの意義に重点を置く新たな第二言語教育を構想するための理論的基盤を提示することを試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、日本語学習者の語りを縦断的に分析することにより、第二言語の使用を通した自己・他者・世界の構築という問題に取り組むための理論的・方法論的基盤を提示することを目指した。本研究の成果は次の2点である。 (1) 「クロノトポス」の概念を用いた談話分析により、相互行為的な語りの実践を通して語り手のアイデンティティが呈示・構築される過程を明らかにした。 (2) 同一の経験を題材にした母語と第二言語による語りを比較・分析することにより、語りにおける経験の表象が、語りがそのコンテクストとの指標的関係において組織化される過程の中で、いわば偶発的に生み出されるものであることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、語りの内容分析に偏重してきた従来の日本語教育の質的研究に対して、それが有する認識論的・方法論的限界を指摘し、人々の語りを、語り手と聞き手の間で行われる相互行為として、語り手が自己とアイデンティティを呈示・構築し、世界を意味づける実践的行為として理解する視点を提示した点で学術的意義を有する。また、クロノトポスの概念を用いた場所と移動の語りと語り手のアイデンティティに関する分析は、移動が常態化しつつある現代社会を生きる人々の生をより深く理解するための視点を示した点で社会的意義を有する。
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