研究課題/領域番号 |
19K13254
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
溝口 愛 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (10824823)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 第二言語習得 / 撥音 / 調音 / 日本語 / 超音波 / 鼻音 / 発音 / 中国語 / 日本語教育 |
研究開始時の研究の概要 |
英語を母語とする日本語学習者にとって、日本語の撥音「ん」は発音が難しいとされている。英語の鼻音は、両唇音(m)、歯茎音(n)、軟口蓋音(ng)の三種類だが、そのどれも日本語の「ん」とは違った音だからである。本研究では、超音波診断装置を用いて舌の動きを観察、英語母語話者の「ん」の調音分析を行う。これにより、学習者の発音の明瞭性向上に役立つデータを提供することが可能になる。また、結果をもとに音声と音韻の相互関係についての議論も行う。
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研究実績の概要 |
最終年度である令和5(2023)年度は、前年度までに実施した超音波舌運動観察実験の分析結果を学会で発表した。中国語母語話者については、国際学会International Congress of Phonetic Sciences (ICPhS) 2023にて結果を報告し、予稿集に論文が掲載された。中国語母語話者4名中3名が、日本語撥音「ん」を発音する際、多くの日本語母語話者に見られる奥舌を用いた調音ではなく、舌尖や舌端を用いた調音を行っていることが確認された。上級学習者1名については、奥舌を用いた調音が観察された。 英語母語話者による日本語「ん」の調音分析結果と併せて、母語にない調音位置を持つ音素の獲得についてまとめると、英語母語話者、中国語母語話者ともに、母語にある類似した音素による代用を第一のストラテジーとしていることが確認された。英語母語話者の方が母語の音素による代用がより強固である可能性があるが、結論を出すには、習熟度別に多くの話者データを集める必要がある。 日本語母語話者の鼻音については、超音波を用いて取得した調音情報と音声の音響情報をもとにニューラルネットワークによる話者予測モデル、音素予測モデルを作成し、結果を国際会議Hanyang International Symposium on Phonetics and Cognitive Sciences of Language (HISPhonCog)2023で発表した。調音情報は、音素の予測精度の向上に、音響情報は、話者の予測精度の向上に寄与する傾向が見られた。話者による調音的バリエーションが音響実現にどのように反映され、それがどのように知覚へ影響するか、議論を進めるうえで、重要な分析結果となった。
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