研究課題/領域番号 |
19K13276
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 桃山学院大学 (2020-2023) 立命館大学 (2019) |
研究代表者 |
宮脇 かおり 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (10806186)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ディベート / アクティブラーニング / 公共 / 教授法 / アクティブ・ラーニング / 外国語 / 教育ディベート / 質疑応答 / 論題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本での教室ディベートとアクティブ・ラーニングの実践は直結していないと指摘する。これには日本の文化的背景、指導者と学習者の関係性、ディベート経験のある指導者の不足、使用言語といった日本の教育現場独自の状況が要因となっている。本研究は、アクティブ・ラーニングとして無批判に行われている現在のディベート教育を精査し、日本の学習者の特性により即したアクティブ・ラーニング型ディベート教授法を開発する。ディベート教育が扱う内容は多岐に渡るが、本研究はアクティブ・ラーニングにおいて特に重要な論題作成と質疑応答の教授法開発を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、まず研究者がコーディネーターを務めた国際ディベートイベントの成果と課題を整理・分析し、国際ディベートイベントをよりpublic(公共)とするための方法を探った。ディベートの源流を古代ギリシャの直接民主制に求めるとするならば、ディベートは元来「公共」であり、中でも公開ディベートは公共性を担保しやすい形式であると考えられる。しかし(一部)参加者にとっての外国語を使用したディベートとなると、そのディベートには「言語習得」の意味合いが付随する。ディベートが言語習得のためのツールとして活用されている事例は無数にあり、それ自体が悪ではない。しかし言語習得や国際交流だけが目的ならば、敢えてディベートのイベントを開催する意義は薄くなってしまう。 こうした懸念を出発点とし、これまでの初学者向けディベート教材ではあまり扱われてこなかった説得や議論のルーツを、わかりやすい形で提供する必要性が明らかになってきた。ディベートのルールや議論の展開方法を初学者向けに紹介する書籍は数多くあり、有用なものも多い。しかしこれまでの調査で明らかになったのは、「なぜディベートをするのか」という素朴かつ根本的な問いに対する答えとして、上記の入門書の回答は批判的思考能力などの「個人の能力向上」に帰結するものに留まっているという点である。高等学校では「公共」の授業も開始しており、ディベート教育においても、個人の能力向上のみではなく「議論によるより良い社会形成」という視点を取り入れることが喫緊の課題と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、研究者が中心となって企画・運営した国際ディベート大会の成果や課題をまとめた発表を第10回国際ディベート教育研究大会で行うことができた。対面で参加することが叶ったため、コロナ禍で薄れていたネットワークの再形成や新たな学術的繋がりを持つことができた。 現在は、ディベート教育の源流とされる古代ギリシャにおけるレトリック教育についてこれまでに収集したデータや文献を元に論文を執筆し、ジャーナルに投稿を目指している。また、同様の内容を初学者向けに書き直した原稿をコミュニケーション研究入門書の一部として投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、ディベート教育のマニュアル化は需要があるものの、ディベート教育が本来目指している批判的思考力、発想力、啓蒙思想とは矛盾が生じることが明らかになった。今後は、こうした矛盾を抱えることを認識しながらも、競技ディベート未経験の指導者の不安を少しでも解消できるような教授法の開発及び普及を目指す。また、古代ギリシャにおけるレトリック教育からの示唆を、ディベート初学者やディベート未経験の指導者にも馴染みやすい形で発表をしていく。
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