研究課題/領域番号 |
19K13282
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 関西外国語大学短期大学部 |
研究代表者 |
蔦田 和美 関西外国語大学短期大学部, 英米語学科, 准教授 (00827735)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 構文知識 / クリティカル・ライティング / 構造方程式モデリング / 相関分析 / 思考力 / 内容 / 評価 / フィードバック / 構文力 / 量的分析 / 評価指標 / ルーブリック |
研究開始時の研究の概要 |
日本の英語教育において、「コミュニケーション能力」が注目される傾向にある。それに伴いコミュニカティブ・アプローチが普及する中で、英語と大きな言語差を持つ日本語を母語とする日本人英語学習者にとっての英語構文の重要性を検証する。特に、電子媒体でのコミュニケーションの普及に伴いライティングが重要なスキルとなっている現代社会において、真の英語使用者としては、英語を「書く」ための英語構文の構築が必須と考える。従って、本研究では「構文知識」と「ライティング」の関係を量的に検証する。
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研究実績の概要 |
日本人英語学習者の英語産出(特にライティング)における文法(特に構文知識)の影響をテーマとして研究を継続している。その中で、構文知識(多岐選択問題の正解率)とライティング評価の相関分析を通して、構文知識の重要性を検証している。 昨今はライティングにおいても、機械翻訳の躍進などもあり、形式よりも内容重視の傾向があるため、2022年度においては、構文知識がライティングに与える影響の一つとして、ライティング評価指標とフィードバックの方法を検証することを目的に二つの論文を執筆した。特徴としては、これまでの伝統的な評価及びフィードバック方法、すなわち形式重視の方法ではなく、内容に特化した評価及びフィードバックを与えることによる影響を検証したことである。 いづれの論文においても、事前に学生に評価とフィードバックの方法を伝えることによって、ライティングの内容評価は高いという結果が示された。ただし、分析結果に基づくと影響の程度はまだ明確とは言えないので、引き続き分析手法を改善しつつ、結果の信頼性を高めていきたい。検証を重ねることで、今後のライティング評価およびフィードバックの手法を見直す機会となれば幸いである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.一部オンライン授業が継続したことにより、ライティング課題の実践回数が不十分であったことによりライティングのデータがやや不足した事実もあるが、その分、より詳細に分析、検証をすることが可能になった。これにより分析の結果の信頼性は高まったと思われる。 2.ライティングの評価については、英語母語話者を含めた複数の査定者を必要とするが、依頼をした査定者からは大変協力的な支援を受けることができている。 3.ライティングには学生の動機づけが重要であるが、担当する学生は、英語熟達度の点からみても、ほぼ全員が真摯にライティング課題に取り組んでおり、ライティング研究者にとっては非常に好ましい環境作りができている。 4.コロナ禍より多くの学会がオンライン(またはハイブリッド)形式となったため、全国からの参加者が増えているため、学会発表を通してより広く、より多様な意見や考えに触れることができ、大変参考になっている。 5.研究費は、主に論文校正費、およびエッセイの評価費用として適切に消化している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、日本人学習者にとっての構文知識の重要性を前提としながらも、近年の機械翻訳の進化を考慮して、新たな視点から構文知識の意義を考えたい。 機械翻訳の英語レベルの高さを考えると、構文知識習得の意義が問われるが、機械翻訳の問題認識、すなわち機械翻訳のエラー認識をして、最終的には構文知識に基づいて自らが判断をする必要性を十分に理解させる必要がある。そのような点から、機械翻訳の出力の正確さを評価して校正するという作業の有効性などを検証できればと考える。 また、ライティングにおいては人間が機械を超える部分、すなわち「内容」に焦点を当てたライティング指導について考えたい。例えば、評価項目の「内容」を最重要視するなどして学生の「議論力」向上に寄与することができればと思う。これについては2022年度半ばより試みを開始しているが、一定の結果は出ているので、具体的な実施方法を改良したうえで、同様の実践研究を続行したいと考える。
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