研究課題/領域番号 |
19K13288
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山田 敏幸 群馬大学, 共同教育学部, 講師 (50756103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 外国語教育 / 第二言語学習者 / 文法的誤り / 人間言語の生得性 / 理論と実践の往還 |
研究開始時の研究の概要 |
理論言語学では、人間言語の生得性(人間は生まれながらに言語に関する知識を有していること)を実証することが重要な研究課題である。これまで第一言語獲得研究での実証が進められてきたが、より多角的に生得性を実証するためには、新たなアプローチが必要である。 本研究は、第二言語学習者が犯す文法的誤りに着目し、言語の生得性に対して、第二言語習得研究からの新たなアプローチを提示する。第二言語学習者の文法的誤りが、母語でも、学習しようとする言語でもなく、インプットを一切受けたことがない言語で文法的に許される構造であるか分析し、第二言語学習者も言語に関する生得的知識にアクセス可能であることを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、第二言語学習者の文法的誤りが、一切インプットを受けたことがない言語で文法的に容認される構造であるかを分析することで、第二言語学習者の文法的誤りをとおして人間言語の生得性を実証できるかどうかを明らかにすることである。また、第二言語学習者の文法的誤りを収集・分析することで、学習者がつまずきやすい文法項目の分布と傾向を同定し、英語教育や日本語教育などの外国語教育に貢献することである。 2023年度の成果は以下のとおりである。 ①まず、昨年度構築した、今後追究されるべき研究仮説「言語学習者の文法的誤りは第一言語であれ,第二言語であれ,生得的に規定された範囲(媒介変数)内に収まっている」について、各種コーパスを活用して、日本人英語学習者と日本語学習者の文法的誤りを収集・分析し、それぞれケーススタディとしてさらなる予測検証ができ、その成果を論文として掲載することができた。 ②次に、日本人英語学習者の文法的誤りを縦断的に収集・分析する中で、誤り率が直接訂正なしに減じること、文法項目毎に誤り率の減少が異なることなどが示唆され、その成果を論文としてまとめることができた。 ③最後に、上記②について、今後の研究課題として、「第二言語学習者の文法的誤りは、指導のような否定証拠なしに、学習者の自己省察によって自己修正ができるかどうか」を構築することができ、今後の研究の新たな方向性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、5つの事項について以下の方法で実施する計画である。(A)まず、日本人英語学習者の文法的誤りを収集する。(B)次に、収集した文法的誤りを含む非文を実験的に検討する。具体的には、データとしての信頼性を高めるために、各非文の容認可能度を質問紙や反応時間測定(自己ペース読文課題など)の実験を実施して数値化する。(C)次に、収集した文法的誤りを分析する。(D)次に、日本人英語学習者がつまずきやすい文法項目を同定する。(E)最後に、上記(A)~(D)を応用して、分析対象を日本語学習者に拡張する。 2023年度は上記のうち、(A)、(C)、(D)、(E)の4項目を進展させることができた。当初予期していなかった新型コロナウイルス感染症問題の余波により、(B)に係る行動実験が遂行できなかった。そのため、行動実験に代わり、昨年度確立した各種コーパスによる手法によって、日本人英語学習者と日本語学習者の文法的誤りを収集でき、そのことにより研究仮説のさらなる検証が可能になった。 他方、本研究課題から発展して、「第二言語学習者の文法的誤りは、指導のような否定証拠なしに、自己省察による自己修正ができるかどうか」という新たな研究課題を見出すこともできた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度となるため、(B)「収集した文法的誤りを含む非文を実験的に検討する」に伴う行動実験の代わりに各種コーパスによる検証を基に、研究の目的が完遂するように、残りの4つの事項(A)「日本人英語学習者の文法的誤りを収集する」、(C)「収集した文法的誤りを分析する」、(D)「日本人英語学習者がつまずきやすい文法項目を同定する」、(E)「上記(A)~(D)を応用して、分析対象を日本語学習者に拡張する」に取り組む。具体的には、日本人英語学習者と日本語学習者のコーパスによる文法的誤りのさらなるデータを収集・分析することで、研究仮説の検証を進めるとともに、新たな着想した研究課題を精緻化させ、今後の研究の方向性を見定める。
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