研究課題/領域番号 |
19K13296
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 大阪大学 (2022-2023) 神戸市外国語大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
川口 正通 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (60632403)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ポライトネス / スペイン語教育 / 中間言語語用論 / 書記コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
現在は電子メールやスマートフォンアプリなど、書記によるコミュニケーションが頻繁に用いられる時代となっており、外国語教育においても、上記のような媒体を使用したコミュニケーション技術の教育に目を向ける必要がある。このことから本研究は、日本における語用論的側面を加味したスペイン語作文教材・教授法の開発を目標とし、具体的にはいくつかの課題についてスペイン語で書いたメッセージを日本人スペイン語学習者とスペイン語圏各国のスペイン語ネイティブ話者から収集し、分析・比較対照することより、日本人が陥りやすい語用論的誤りを洗い出し、それらを考慮に入れたスペイン語作文教材および教授法の開発へと繋げる。
|
研究実績の概要 |
2023年度は新型コロナウィルスの蔓延による水際対策がようやく緩和され、海外渡航が可能となったことから、国際学会に複数回参加することができた。 まず、2023年6月にスペイン、サラマンカ市で開催された学会に参加し、本研究課題と類似したテーマを扱う研究者と意見交換をすることができた。 次に、2023年8月にスペイン、ブルゴス市で開催されたCongreso ASELEに参加し、"Una propuesta sobre la ensenanza de conjunciones y locuciones conjuntivas destinada a los estudiantes de ELE con L1 japons"と題した研究発表をおこなった。具体的には、スペイン語の原因をあらわす接続語句であるya queに焦点を当て、日本語でこれに相当すると考えられるカラニハという言語形式との比較対照をおこない、同様の研究の重要性を主張した。接続語句は本研究課題のテーマである書記コミュニケーションにおいて、まとまった文章を作成する場面では重要な要素である上、原因表現は依頼表現や断り表現とともに用いることでポライトネスストラテジーとしても機能しうることから、スペイン語教育にも寄与する内容である。 最後に、2024年3月に、"Construcciones condicionales como estrategia de cortesia: un estudio contrastivo entre el espanol y el japones"と題した研究論文を発表した。これはポライトネスストラテジーとして使用される条件節の用法がスペイン語と日本語で異なることを論じたもので、こちらもスペイン語学習者に対する語用論的側面の教育に寄与するものであると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、2023年度は新型コロナウィルスの蔓延による水際対策が緩和されたことで海外への渡航が可能となり、国際学会に参加・発表が可能となったこと、そして学術論文を1本発表したことを考慮すると、研究成果の発信という点においては進展があったと考えられる。しかしながら、パンデミック中の海外渡航が叶わなかった期間の遅れはまだ完全に取り戻せたとは判断できないことから、全体としては引き続き「やや遅れている」という判断が妥当と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究成果の発信が中心となった年であったが、当初の予定であったデータ収集をおこなうことができなかった。2024年度が本研究課題の最終年度となる予定であるので、少なくともスペインにおいて、可能であればメキシコ等のスペイン語圏諸国において書記コミュニケーションのデータ収集および研究協力者との面談をおこないたいと考えている。できるだけ現地に出向いての調査を予定しているが、かなわない場合にはオンラインでの実施も視野に入れる。 また、研究成果の発信を引き続き続ける予定で、すでに関西スペイン語学研究会例会での研究発表が2024年11月に予定されているほか、スペイン語教育学会(ASELE)で2023年度に発表した内容の発表論文が今年度中に出版される予定である。さらに、本研究課題の成果をまとめた論考についても、何らかの形で作成したいと考えている。
|