研究課題/領域番号 |
19K13316
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 大月短期大学 (2021-2022) 東京藝術大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
松岡 昌和 大月短期大学, 経済科, 助教 (70769380)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 戦争の記憶 / 第二次世界大戦 / シンガポール / 香港 / アジア・太平洋戦争 / アジア主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦時中から戦後にかけてシンガポールおよび香港で活動した「文化人」のネットワークを見ることで、戦時期から戦後にかけての文化活動の連続と断絶、「戦争の記憶」の創造・継承・忘却のあり方を浮き彫りにするものである。戦後の両都市で活動した映画人、音楽家、漫画家などの「文化人」の中には戦前・戦時期に日本人とともに創作活動をしていた人物が少なくない。本研究では、両都市におけるポピュラー・メディアのなかにどのような形で「戦争の記憶」が埋め込まれていったのかを明らかにするとともに、比較史の観点を取り入れることで、「戦争の記憶」の生成の普遍性と特殊性をあぶり出していく。
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研究実績の概要 |
2022年度は、COVID-19の世界的流行に伴い、研究課題に関する新たな調査について遅れが生じている。そうしたなかで、本年度は、戦後における日本とシンガポールとの文化的な関わり、さらにそこに見られる戦争の記憶についての論考の執筆と調査を進めた。 シンガポールについては、1967年に公開された松竹制作の映画『シンガポールの夜は更けて』についての考察を進め、まず作中にみられるアジア主義的側面と、その戦後における展開について分析を行った。それをまとめた論考が英文の雑誌East Asian Journal of Popular Cultureに掲載された。 また、日本における大衆オリエンタリズムとアジア主義の観点から、戦時期の日本における東南アジア民衆像について検討を行った。その成果は『植民地教育史研究年報』第25号に掲載された。 そのほか、これまでの研究のアウトリーチとして、2023年1月に高等学校の研修事前講座として、シンガポールにおける日本占領の経験について東京都立小石川中等教育学校において講演を行った。そこでは、報告者のこれまでの研究を踏まえ、日本におけるシンガポール表象とシンガポールにおける戦争の記憶を対照させ、日本と東南アジアとの関わりについて多様な視点を提供した。実施後、当該学校より生徒の感想文を受け取ったが、高校生に日本の東南アジア関与の歴史について新たな知識を提供することができたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も前々年度・前年度に引き続きCOVID-19の世界的な流行等により、予定していた国外での研究調査はすべてキャンセルを余儀なくされた。そこで、これまでに収集している資料の整理・分析、論文執筆など成果の公開に注力した。 しかしながら、シンガポール、イギリスなどを訪問して直接資料を入手する機会に恵まれなかったことは、本研究の進捗にとって大きな阻害要因になっていることは否めない。以上の理由から、本研究課題の進捗状況はやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に、シンガポールを描いた戦後日本映画に見られる戦争の記憶とアジア主義に関する論考を発表したが、現在このトピックについてさらに調査を進め、研究発表を行う計画である。具体的には、製作背景について、史料の収集を進めており、今後分析を進めていく。 香港については、やはり戦後日本映画に描かれた香港像から戦争の記憶にアプローチすべく、1961年から1963年にかけて東宝とキャセイが合作した「香港三部作」について調査を進めてきた。これについては、今後口頭発表や論文執筆の形で成果を発信していくことを計画している。
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