研究課題/領域番号 |
19K13320
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山下 洋平 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (40737243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 喪礼 / 服喪 / 挙哀 / 礼制 / 儒教 / 官僚制 / 王権 / 氏族制 / 葬礼 / 臨 / 君臣 / 喪服 / 日中比較 / 喪葬儀礼 / 君臣関係 / 君臣秩序 / 臨・挙哀 / 近臣 / 東アジア / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
日本古代では、天皇・太上天皇、后が死去すると、臣下は喪に服さなければならなかった。この臣下の服喪儀礼は、中国の制度を取り入れたものであり、中国でも皇帝や后の死去時に臣下の服喪儀礼が実施された。本研究の目的は、この日本古代と中国の服喪儀礼を比較し、日中の官僚機構や君主制の特質を明らかにすることである。 天皇や中国皇帝といえども、父帝や母后の死去に際しては、自ら喪に服した。そして、君主が父帝や母后のために喪に服し続けている限り、臣下も服喪をやめるわけにはいかなかった。本研究の考察のポイントは、この君主に従って喪に服し続ける日中の臣下がどのような立場の官人たちであったかを明確にすることである。
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研究成果の概要 |
古代日本と中国(魏晋南北朝から唐)で実施された喪礼(臣下服喪儀礼や挙哀儀)を比較検討した結果、以下の2点が明らかとなった。 ①中国では、官僚機構の枠組みが官人の行う喪礼の構造を明確に規定していたが、日本では、8世紀で既に官僚制の枠組みにとらわれない喪礼、すなわち、氏族制的秩序や天皇との人格的関係を反映した喪礼が行われた。 ②日本の8世紀における中国的喪礼受容には、天武天皇殯儀礼より継承した氏族制的要素が影響し、そうした要素は9世紀を通して喪礼のなかに維持され、その結果、10世紀には天皇との人格的関係や日常の奉仕関係を重視する新たな喪礼が形成された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、日中の君主等の喪礼(臣下服喪儀礼や挙哀儀)を詳細に分析することで、両者の相違点を明らかにし、そこから、日本古代における中国的喪礼受容の特質、王権のあり方、礼認識を解明したことである。とりわけ、官僚制が喪礼の構造をいかに規定したかという点に着目したことで、日本古代の喪礼が、官僚制のみならず、氏族制や天皇との人格的つながりにも大きく影響を受けて形成され、また、変容していったことを明らかにすることができた。 また、本研究は、今日なお日本文化の形成に深く関わっている儒教や礼の受容を解明したものでもあり、異文化交流・融合に対する理解・関心を促す社会的意義を有する。
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