研究課題/領域番号 |
19K13330
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒須 友里江 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (20781438)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 藤原頼通 / 平安時代 / 春記 / 水左記 / 摂関政治 / 左経記 / 古記録 / 写本 / 日本史 / 摂関期 |
研究開始時の研究の概要 |
摂関政治と院政についてはその連続性がたびたび指摘されるが、両分野の研究状況の違いから、このことは院政期研究の立場から論じられることが多かった。しかし近年摂関期研究は大きく進展し、摂関政治と院政の連続性を摂関期研究の側から捉え直すべき段階に到達している。この課題へのアプローチとして本研究では移行期にあたる藤原頼通以降の摂関期を重点的に扱い、史料の調査・検討および政治構造についての研究を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は特に『春記』『水左記』の分析をおこなった。 『春記』については、これを用いて後朱雀天皇と関白藤原頼通の政務への関わり方を検討した。『春記』には、記主である蔵人藤原資房が天皇と頼通の間を頻繁に行き来して政務処理にあたっている様子が記録されているが、それは中世の「奏事」と呼ばれる新しい政務処理方法と同じものである。「奏事」は伝統的な太政官政務に取って代わっていく、古代から中世への変化を考える上で重要な政務だが、その萌芽期と思われる摂関期の様相については研究蓄積が少ない。現在広く受け入れられているのは、藤原道長の時にすでに奏事は日常的におこなわれていた、という玉井力氏の指摘である。しかし道長と頼通の政務処理の様子を比較してみると、頼通の場合は本来太政官で審議・決裁すべき内容を天皇との間で決定してしまった後に太政官へ指示する、という中世的様相が明らかなのに対し、道長の場合にはそれが見られないという段階差が存在することが分かった。近年の研究には中世に向けた政治の変化の始まりを道長に求めるものが多いが、中世への展開における頼通政権期の重要性が確認された。以上の内容は「藤原頼通の政治手法」と題して口頭報告した。 『水左記』については、以前より参加している「水左記研究会」(大阪公立大学・磐下徹氏主催)に継続して出席し、写本をもとに本文校訂をおこなった上で内容を検討した結果を註釈として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『春記』を用いた平安時代後期の政治に関する研究を進め報告することができ、その内容の文章化を予定している。また『水左記』の研究も継続して進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2023年度に報告した内容の文章化をおこなうとともに、『春記』の諸写本検討結果を反映させつつ研究を深化させる。続いて、他の角度からの『左経記』『春記』『水左記』を用いた平安時代後期の政治構造の研究にも着手する。
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