研究課題/領域番号 |
19K13331
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
志村 佳名子 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (00759665)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 除目 / 三条西家 / 儀式書 / 故実 / 宮廷儀礼 / 朝廷の政治構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の古代・中世に行われた官職の任命儀礼である除目(じもく)の儀式内容とその作法を記す史料(除目書)の形成過程の検討から、古代・中世における朝廷の政治制度を解明することを目的とする。 除目は複雑な作法を伴う儀式で、その作法を記す除目書も難解なため、内容の検討も写本の整理も不十分である。そこで本研究では、近年高い学術的価値が見出された三条西家の除目書を整理し、九条家などの摂関家が有する除目書と比較・検討し、重要な未翻刻史料の翻刻・解釈を行うことで、除目研究の基盤を構築する。 さらに、除目儀式を政治制度として位置付け直すことで、古代・中世の朝廷の政治構造を解明する新たな研究視角の確立を図る。
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研究実績の概要 |
2022年度は、主として(1)三条西家が書写・所蔵した除目儀式書の分析および(2)除目次第の展開過程の分析を行った。(1)に関しては、昨年度にその書誌的考察を行った三条西家旧蔵『無外題春除目』(三条西家が書写した九条家流の除目書)と密接に関係すると思われる、国文学研究資料館所蔵『除目抄 下』の原本調査と写真撮影を行い、筆跡から当該史料が三条西公条によって書写されたものと推定されることを確認した。また、『除目抄 下』の翻刻を進めたが、上巻が逸失しているため書誌の全貌が分かりづらく、また類似の史料も見出せていないため、引き続き調査を進める必要がある。同じく国文学研究資料館所蔵『除目聞書』・『除目<筥文并顕官挙>』についても、原本調査と写真撮影を行った。この二点に関しては、『除目抄 下』と直接的な関係は見出せないようである。 (2)に関しては、中世の除目書で体系化された除目次第が、古代を通じてどのように形成されたかという視点から考察を行った。具体的には、九条家本『春除目抄』の本文を軸として、除目儀を構成する各次第について、他の除目書(『魚魯愚鈔』など)や儀式書(『西宮記』『北山抄』『江家次第』など)の関連箇所を対比させる作業などを行った。(1)(2)ともに作業の分量が多いため、年度中に業績としてまとめることはかなわなかったが、除目研究の基盤の形成に必要な作業であるため、今年度も引き続き考察を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未翻刻・未解明の史料である、国文学研究資料館所蔵『除目抄 下』の翻刻案を作成することができたが、書誌的な考察に時間がかかるため、引き続き当該史料の調査・考察に努める。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は当初は3ヵ年の研究計画であったが、新型コロナウィルス感染症の流行による移動制限等の影響で史料の所蔵機関での原本調査の回数等が減少したことにより、研究実施期間の延長を申請した。そのため、今年度が最終年度となる。 今年度は、引き続き三条西家所蔵の除目書の調査(国文学研究資料館所蔵および大倉山精神文化研究所所蔵の史料等)を進めるとともに、古代から中世における除目儀の形成過程とその政治的意義の解明に努める。
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