研究課題/領域番号 |
19K13334
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷川 裕峰 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (60802361)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 広学竪義 / 法華大会 / 学僧 / 宝地房証真 / 阿弥陀房抄 / 竪義 / 論草 / 『阿弥陀房抄』 / 『天海蔵義科抄』 / 天台論義書 / 延暦寺 / 論義法要 / 探題 / 南光坊天海 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現在の延暦寺に伝承されている「論義法要」の実態的研究を目的とする。論義とは、問答形式の議論を通して教義の理解を深める法要であり、学僧を養成する場として大きく発展した。その過程において論義法要の中に口頭試問が組み込まれ、天台学僧の登竜門に位置付けられる法華大会を生み出した。このような研鑽の結果として生まれた膨大な論義書の中から『阿弥陀房抄』や『天海義科抄』といった未翻刻史料群に注目する新しい研究手法を用いて、法華大会の教学的正当性に論究する。これは、織田信長が比叡山を焼き討ちを行った後、延暦寺復興を目指した南光坊天海が法華大会の復活を一番重視した政治的意図を考察する端緒となると考える。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、未翻刻史料群『阿弥陀房抄』にある「法身八相」「三周未来成道」という題目の翻刻作業を通して、本史料群の中に「実際に使用された竪義の論草」と「学習のための想定問答・例講問答」の二系統が併存する点を解明した。これらの題目は、『法華経』の「三周説法」「二乗作仏」という分野から竪義の問題として作成されたものであり、『阿弥陀房抄』の教学的背景、宝地房証真学派との関連性、当該期の法華大会広学竪義における具体的な試験内容を読み取ることに成功した(「証真教学の継承をめぐる一試論―『阿弥陀房抄』法身八相を中心に―」(伝教大師一千二百年大遠忌記念『平安・鎌倉の天台』山喜房佛書林、2021年)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で扱った『阿弥陀房抄』は、天台教学の最高権威者である探題が作成した試験問題・受験対策としての練習問題を収録している。そのため、比叡山における教学・修学の実態、特に学僧育成のカリキュラムに果たす論義の役割を解明するのに、大きな手掛かりとなる未翻刻史料群であることが明白となった。中世人の世界観が当該期の仏教教理に多大な影響を受けていた点や、その思想的背景に民衆社会へ積極的に進出していた延暦寺による文化的な動向が関係していた点は、既に先行研究において指摘があった。しかし、それを牽引していた天台学僧の輩出に関する具体的なメカニズムは未勘の課題であり、本研究はその嚆矢と位置付けることが可能である。
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