研究課題/領域番号 |
19K13335
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
加藤 明恵 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30824528)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 近世公家領 / 領主財政 / 在郷町 / 在郷町運営 |
研究開始時の研究の概要 |
近世公家領の領主支配および家領の地域社会運営の実態を解明し、相互の関係性を論じるために、近衛領である摂津国川辺郡伊丹郷町を対象として、領主・地域双方の経済・金融・政治的側面に関する史料の調査をおこない、分析・検討する。さらに、周辺地域の藩領(播磨国三木町、小野町)との比較検討をおこなうことで、公家領経営の特質に加え、特産品生産が地域経済の基盤となる在郷町の地域運営の特質を明らかにする。
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研究実績の概要 |
摂家による家領経営の実態について主に金融・財政的側面に着目して明らかにするという研究目的により、2023年度は陽明文庫所蔵近衛文書(家門篇四)「八ツ藤講銀・神楽方渡銀・積印銀・積永印銀 扣帳」の翻刻を行った(東京大学史料編纂所にて同所所蔵写真帳を閲覧)。この控帳は、春日社太々神楽取り立てのために開始された八ツ藤講銀を、同講中が近衛家に預けたが、講銀の運用に講名主が差し詰まり、近衛家の所領である伊丹郷町御金方に講銀を預けて運用を図った記録など、各資金の貸付・返済に関して近衛家が作成した帳簿である(時期は文化・文政期)。近衛家がもつ各資金が、伊丹郷町だけでなく他の家領に対しても貸し付けられて利殖されていたが、利率の低さからか扶助的性格をもつ貸付金であることがうかがえた。 研究期間全体をとおして、近衛家領である伊丹郷町での近衛家による利殖や、近衛家による伊丹郷町からの借入について、近世中後期を対象に検討した。近衛家が諸方に貸し付けているさまざまな資金の内容について検討し、伊丹郷町での利殖の位置づけについて明らかにすることができた。近衛家による伊丹郷町からの小物成徴集や、伊丹郷町から近衛家への御用金等の出金などをつうじて、伊丹郷町では地域の財源を形成するようになるなど、近世近衛家領においては領主財政と地域社会運営が密接に関連することについて検討することができた。また、幕末期における、近衛家の掛屋を通じた他の公家等に対する貸付についてもその一端を明らかにすることができた。
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