研究課題/領域番号 |
19K13342
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤本 誠 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (60779669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日本古代仏教史 / 東アジア仏教 / 日本霊異記 / 東大寺諷誦文稿 / 中国仏教説話・僧伝・仏教類書 / 地方寺院 / 仏教法会 / データベース / 中国仏教説話 / 日本古代 |
研究開始時の研究の概要 |
九世紀初めに編纂された日本最古の仏教説話集である『日本霊異記』の内容は、東アジア世界の仏教説話の大きな影響が認められるが、これまでの歴史学的研究では東アジア世界の仏教説話との比較研究が殆どなされてこなかった。そこで本研究では、東アジア仏教世界の中での『日本霊異記』説話の独自性を解明するために、まず東アジアの仏教説話の収集・データベース化・類型化を行い、さらに『日本霊異記』説話とのストーリー構造の比較分析及び、説話の舞台となった地域社会の史資料との比較検討、地域社会の法会で語られた説法の手控えと考えられる『東大寺諷誦文稿』との比較研究を歴史学的視点から行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、主に日本最古の仏教説話集『日本霊異記』と中国仏教説話集との比較研究と『東大寺諷誦文稿』の分析を行った。その結果、第一に、中国仏教説話集の表現・説話構造及び思想の影響と独自性が存在したことが明らかとなった。特に、中国では歴史書と認識された説話集が日本では宗教書と認識されていたことなど、『日本霊異記』の成立は中国仏教の受容状況に規定されていたことを指摘した。加えて『東大寺諷誦文稿』の考察から、古代日本の地域社会における仏教法会と『日本霊異記』の編纂には思想的に深い関係があったことを指摘した。以上、『日本霊異記』は東アジア世界の中で独自性をもつ仏教説話集として成立したことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
『日本霊異記』は日本最古の仏教説話集として学術的価値をもつものとされてきたが、東アジア世界の中の古代日本という視点から、九世紀前半に編纂されたことの歴史的意義が十分説明されてこなかった。本研究では、本説話集と中国仏教説話との比較研究に加え、八・九世紀の日本の中国仏教書の受容状況から、中国仏教の影響を受けながら、本説話集が日本独自の仏教説話集として成立したことを指摘した。またこの時代は日本で初めて地域社会にまで仏教が浸透した時期であり、本説話集の成立とも密接に関わっていた。この事実は、日本古代史研究のみならず日本社会における仏教のもつ意味や、東アジア世界の中の日本を理解するために重要である。
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