研究課題/領域番号 |
19K13344
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
吉村 雅美 (吉村雅美) 日本女子大学, 文学部, 准教授 (70726835)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 対外関係 / 儒学 / 洋学 / 対外認識 / 藩政 / 近世近代移行期 / 平戸藩 / 松浦家 / 文芸 / 平戸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、18世紀末から19世紀初頭の日本において受容された儒学・洋学が近世近代移行期の対外認識に与えた影響について、平戸藩を中心に考察する。 平戸藩は、9代藩主松浦静山が江戸・京都の儒者と交流するとともに洋書も収集しており、儒学・洋学の双方の影響について考察することが可能な藩である。さらに、明治期の旧平戸藩士による貿易史研究は近代以降の日本の対外関係史研究にも影響を与えた。 そこで、①松浦静山による儒学・洋学の受容、②松浦家の江戸における交際と学問、③幕末期から明治初期の対外認識という3点から、近世後期の日本において受容された学問が、近世近代移行期の対外認識の形成に与えた影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
(1)最終年度の成果:平戸市内において、平戸の有力町人谷村家の文書、平戸町人・捕鯨業者である井元家の文書の調査・撮影を行った。また、松浦史料博物館所蔵史料を用いて、松浦家の学問交流と対外認識の関わりについて考察し、その成果を拙稿「学問の場でつくられた対外認識」(『日本近世史を見通す2』)として公表した。 (2)本研究の成果:本研究では、松浦史料博物館所蔵松浦家文書・長崎歴史文化博物館所蔵楠本文庫および平戸市内の個人蔵文書の調査を行った。そして、①平戸藩主・藩士による儒学の受容、②大名松浦家の江戸における交際と学問、③近世近代移行期における対外認識、④城下町人の学問という4つの観点から、近世近代移行期における儒学・洋学の受容と対外認識の形成について考察した。 ①平戸藩藩校維新館関係史料と藩主松浦静山・藩士が入門した儒者皆川淇園の弘道館関係史料を分析し、儒学の学習方法である会読や討論が、藩政や対外政策に関する議論に活用されたことを解明した。②松浦家江戸屋敷において、奥向女性や幕臣・学者・文人・宗教者が参加する詩歌・奏楽の会を含む交際が展開し、その場で対外関係や洋学に関する知識も交換されたことを明らかにした。そして、静山がこれらの人脈を通して得た海外情報を幕府に提供していたことを指摘した。③平戸藩主松浦詮の書翰から、明治初期に詮が洋学の必要性を認識して子息の教育に採り入れようとした一方で、国許の旧藩士子弟の間では儒学の影響が強かったことを指摘し、明治期の対外進出論へ影響を与えたという見通しを示した。④これまで未整理であった平戸城下町人の文書の調査・撮影を進めた。今後、町人の学問・文化に関する研究も進める予定である。 以上により、近世後期の日本における学問について、大名家の儒学・洋学受容および芸能・文化を通じた交流を中心に考察し、幕末期から明治初期の対外認識形成の背景を明らかにした。
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