研究課題/領域番号 |
19K13347
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
廣木 尚 早稲田大学, 歴史館, 講師(任期付) (00756356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 史学史 / 日本歴史地理学会 / 歴史地理学 / 郷土史研究 / 地方史学会 / 歴史意識 / 旧藩意識 / 旧藩社会 / 旧藩研究 / 吉田東伍 / 『大日本地名辞書』 / フィールドワーク / アカデミズム史学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀初頭に形成された全国的な歴史研究者ネットワークの実態と、その活動がアカデミズム史学と地域の歴史意識の双方に与えた影響を考察するものである。近年、地域史研究の領域で、20世紀転換期に地域の歴史意識が質的に転換したとする分析が相次いで発表されている。それらの成果を踏まえつつ、本研究では、この転換の背景に歴史研究者ネットワークの形成が関係しているとの見通しのもと、その実態を多面的に検討することで、近代歴史学の発達と社会への浸透が日本社会に歴史意識の転換をもたらすプロセスを構造的かつ具体的に解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、20世紀初頭に形成された全国的な歴史研究者ネットワークの実態とその活動が与えた影響を考察することを目的に実施された。本研究の主たる成果は以下の3点である。 第一に、上のネットワーク形成の起源に「地方史学会」という地域の研究団体が大きな役割を果たしたことを解明した点。第二に、このネットワークが日本歴史地理学会を結集点として全国化する過程で、その構成員を研究者・教員層に特化させていったことを解明した点。第三に、各地の教員層を包含していたこのネットワークでは、歴史教育や現代史など、アカデミズム史学では扱われない地域や教育現場の要請に即した研究課題が積極的に取り組まれたことを解明した点である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、第一に、従来、「中央」の学界を中心に考察されてきた日本の近代歴史学の形成過程に「地方」の歴史研究者が果たした役割を解明したことにある。加えて、その「地方」の歴史研究者の活動実態を解明することで、旧藩研究など地域史研究において近年盛んに取り組まれている研究課題と接続することができた。そして、地域アイデンティティに果たす歴史意識の役割、及びその形成と変容の過程を焦点化した本研究の成果は、各種の構造的問題を抱え、その持続のためには多様性と可変性を備えることが不可欠である現在の地域社会のあり方に、歴史学の知見を活かしうる方途を示唆している点で、極めて実践的な社会的意義を有する。
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